アブサロム(その他表記)Absalom

翻訳|Absalom

改訂新版 世界大百科事典 「アブサロム」の意味・わかりやすい解説

アブサロム
Absalom

ダビデ三男ヘブロンでの統治時代に生まれた。旧約聖書サムエル記》下によれば,彼はその異母兄であった長兄のアムノンが,自分の妹タマルを凌辱して捨てたことに怒って,彼を殺した。そのために母の故国に追放されたが,のちに許されて帰国した。その数年後にダビデに対する反乱を起こしたため,ダビデは一時エルサレムから逃亡した。反乱が敗勢に傾いたとき,ダビデの意向を無視した軍の長ヨアブによって殺された。その報を受けた父ダビデの嘆きは有名である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブサロム」の意味・わかりやすい解説

アブサロム
Absalom

ダビデの3男でダビデに最も愛された。ヘブライ語で「平和の父」の意。『サムエル記下』 13~19章の記述を見ると,その姿の美しさ,政治的野心,その悲劇的運命は旧約聖書のアルキビアデスと称されてよい。妹タマルを犯したアムノンを殺したことからその運命は大きく変化し,やがて父ダビデに反旗を翻すにいたり,ヘブロンにおもむき即位宣言を行なった。その陣営にはバテシバの祖父アヒトフェルと王の友人ホシャイが参加したが,アヒトフェルの計画はホシャイにはばまれ機を逸し,エフライムの森においてダビデの軍に敗れ,ダビデの命令を無視した将軍ヨアブによって非業最期をとげた。

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