ヘブロン(その他表記)Hebron

デジタル大辞泉 「ヘブロン」の意味・読み・例文・類語

ヘブロン(Hebron)

パレスチナ地方の古都エルサレムの南約30キロメートルに位置する。ユダヤ教キリスト教イスラム教聖地であるマクペラの洞窟には、アブラハム一族の墓があるとされる。2017年、旧市街が世界遺産(文化遺産)と危機遺産に登録された。
[補説]イスラエル建国以来、ヨルダン領だったが、1967年の中東戦争後、イスラエルに併合。1997年のヘブロン合意によりパレスチナ自治政府の自治が一部認められたが、ユダヤ人とパレスチナ人の間で深刻な対立が続いている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘブロン」の意味・わかりやすい解説

ヘブロン
へぶろん
Hebron

西アジア、ヨルダン川西岸の古い町。エルサレムの南32キロメートルに位置する。ヨルダン領であったが、1967年以来イスラエルが占領していた。1997年にイスラエル政府とパレスチナ自治政府との合意(ヘブロン合意)に基づいて80%の地域からイスラエル軍が撤退し、パレスチナ自治政府の自治が部分的に認められるようになった。1987年当時の人口は7万9087、その後21万0081(2019推計)。『旧約聖書』の「創世記」に、アブラハムが妻サラの墓所としてここの土地を買い取ったとの記述がある。彼の一族の墓があるマクペラの洞穴は、上にモスクが建ち、ユダヤ教、イスラム教双方の聖地である。ヘブロン・ガラスの産地であり、周辺にはイチジクブドウなどの果樹園が広がる。

[塩尻和子]

 2017年、「ヘブロン/アル・ハリール旧市街」としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録されると同時に、危機遺産リストにも登録された。

[編集部 2018年5月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘブロン」の意味・わかりやすい解説

ヘブロン
Hebron

エルサレムの南36kmの地点に前18世紀の昔からある町。別名キリアテ・アルバKiriath-arba。アブラハム,イサク,ヤコブなどイスラエルの族長ゆかりの土地で,族長とその妻たちの墓がある〈マクペラ洞穴〉はユダヤ教徒とイスラム教徒双方にとっての聖所。ダビデはイスラエル全土を統一するまで,ここを拠点南部のユダ地方を7年半の間治めた。町のアラビア語名ハリールal-Khalīlは〈友〉の意で,敬虔なアブラハムが神を友としていたことに由来する。
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百科事典マイペディア 「ヘブロン」の意味・わかりやすい解説

ヘブロン

パレスティナの〈ヨルダン川西岸地区〉の都市。エルサレム南西30km,標高927mにあり,聖書に関係の深い町である。キリアテ・アルバ,アル・ハリールとも呼ばれる。大モスクにあるマクペラ洞窟には族長物語に関係深い墓がある。ダビデはここをユダ王国の最初の首都にしており,またイスラム教徒にとっても聖所。1994年大モスクで多くのイスラム教徒が極右イスラエル人によって射殺され,中東和平の焦点の一つとなった。約4万人。
→関連項目パレスティナ暫定自治

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘブロン」の意味・わかりやすい解説

ヘブロン

「ハリール」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のヘブロンの言及

【エルサレム】より

…人口59万1000(1996,イスラエルの統計,東エルサレムを含む)。
[位置と景観]
 地中海とヨルダン地溝帯とにはさまれた形で南北につらなる山地(その北半をナーブルス山地またはベート・エルBeth‐El山地,南半をハリールKhalīl山地またはヘブロン山地と呼ぶ)の中央部分(ユデヤ丘陵ともいう)にあたる岩尾根の上に位置する。尾根づたいに北から南にかけて,ナーブルス(シケム),ラーマッラーRām Allāh,エルサレム,ベツレヘム,ヘブロンという都市が並んでいるが,この南北をつなぐ街道と交差する形で,地中海岸と死海の谷とを東西に結ぶ道がエルサレムで山越えするようになっているので,古来エルサレムは交通の十字路,パレスティナの枢軸の地位を占めてきた。…

【ダビデ】より

…アキシはダビデにチクラグ(ネゲブにあったユダの町)を与え,護衛の長にした。サウルがギルボア山でペリシテ人と戦って敗死したことを聞くと,ダビデは南方諸部族の中心都市ヘブロンに行って,ユダ王国を建てた。サウルの軍の長アブネルAbnerは,東ヨルダンに逃げてサウルの子エシバアルEshbaalをイスラエル王として擁立したが,結局,2人とも暗殺されたため,ダビデにイスラエル王位が提供された。…

※「ヘブロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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