ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブドゥッラー2世」の意味・わかりやすい解説
アブドゥッラー2世
アブドゥッラーにせい
`Abdullah II
ヨルダン国王(在位 1999~ )。フルネーム `Abd Allah ibn Husayn。敬虔なイスラム教徒が預言者ムハンマドの直系とみなすハーシム家の末裔。フセイン国王の長男として生まれ,3歳まで皇太子の地位にあったが,その後中東の政情不安により,すでに成人していた叔父のハサンが王位継承者に指名された。イギリスとアメリカ合衆国で教育を受け,1980年イギリスの王立サンドハースト陸軍士官学校を卒業。その後,イギリス軍とヨルダン軍で任務につき,1993年ヨルダンの精鋭部隊である特殊部隊の副司令官に任命された。同 1993年,パレスチナ人のラニア・アル・ヤシンと結婚。1999年1月,健康が悪化していたフセインにより,新たな王位継承者に指名。1999年2月7日,父親の死去から数時間後にヨルダン国王に即位し,6月9日正式に戴冠した。父フセインの政策の多くを継承し,アメリカ軍基地をヨルダン国内に設置することを許可した。また,イスラム主義者の権力拡大の抑制,女性の地位向上,経済の自由市場改革を推進。中東和平協定の成立も最優先課題の一つとし,イスラエル,パレスチナ双方の指導者と会談して和平交渉に参加するなど,和平プロセスに対する積極的な姿勢を身をもって示し続けた。
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