アブー・フィラース(英語表記)Abū Firās, al-Ḥamdānī

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブー・フィラース」の意味・わかりやすい解説

アブー・フィラース
Abū Firās, al-Ḥamdānī

[生]932. イラク
[没]968.4.4. シリア
アラブ詩人。 10世紀初めから 11世紀初めにかけてイラク北部のジャジーラ地方とシリアの北部とを支配したハムダーン朝一族で,アラブのタグリブ部族の人。同王朝の英主でアレッポに都したサイフ・ウッダウラの宮廷に集った文人や学者たちの一人である。典型的アラブ騎士としてたたえられ,しばしばビザンツ軍と戦った。2回捕虜となったが,2回目は4年間 (962~966) コンスタンチノープル幽囚された。その後ヒムスの太守となったが,一族間の争いで殺された。多数の詩を残したなかでも,捕虜生活中のものに絶唱が多く,一括して『ルーミーヤート』 Rūmiyyāt (『ビザンツ哀歌』) と呼ばれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android