ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブー・フィラース」の意味・わかりやすい解説
アブー・フィラース
Abū Firās, al-Ḥamdānī
[没]968.4.4. シリア
アラブの詩人。 10世紀初めから 11世紀初めにかけてイラク北部のジャジーラ地方とシリアの北部とを支配したハムダーン朝の一族で,アラブのタグリブ部族の人。同王朝の英主でアレッポに都したサイフ・ウッダウラの宮廷に集った文人や学者たちの一人である。典型的アラブ騎士としてたたえられ,しばしばビザンツ軍と戦った。2回捕虜となったが,2回目は4年間 (962~966) コンスタンチノープルに幽囚された。その後ヒムスの太守となったが,一族間の争いで殺された。多数の詩を残したなかでも,捕虜生活中のものに絶唱が多く,一括して『ルーミーヤート』 Rūmiyyāt (『ビザンツ哀歌』) と呼ばれている。
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