化学辞典 第2版 「アミノアシル転移RNA」の解説
アミノアシル転移RNA
アミノアシルテンイアールエヌエー
aminoacyl-tRNA
転移RNA(tRNA)が,それに特異的なアミノ酸を結合した状態をいう.アミノ酸の結合は,tRNAの3′末端のアデノシンのリボースの3′位OH基とアミノ酸のカルボキシル基との間につくられる共有結合によってなされる.アミノアシル結合は高エネルギー結合で,この結合をつくるためのエネルギーはATPの高エネルギーリン酸結合から引き出される.このアミノアシル化の反応は酵素としてアミノアシルtRNAシンセターゼが関与し,基質としてtRNA,アミノ酸,ATP,マグネシウムイオンが必要である.また,この反応は二段階に分けることができる.まず,アミノアシルtRNAシンセターゼによってATP存在下でアミノ酸が活性化され,酵素上でアミノアシルアデニラート(AA-AMP)となる.これはAMPとアミノ酸のカルボキシル基とが高エネルギー結合したものである.このとき二リン酸が生じる.次に同じ酵素によってtRNAへアミノ酸が移される.
アミノ酸 + ATP + 酵素 [アミノアシルAMP-酵素] + 二リン酸
[アミノアシルAMP-酵素] + tRNA アミノアシルtRNA + AMP + 酵素
このようにして合成されたアミノアシルtRNAはリボソーム上に運ばれ,メッセンジャーRNA(mRNA)のコードに対応してタンパク質が合成される.[別用語参照]転移RNA
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報