日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカアナグマ」の意味・わかりやすい解説
アメリカアナグマ
あめりかあなぐま
American badger
[学] Taxidea taxus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。カナダ南西部からメキシコ中部にかけて広く分布するが、アメリカ合衆国南東部にはいない。体長45~70センチメートル、尾長10~15センチメートル。背面は灰褐色で、鼻先から頭の中央を通って1本の白帯があり、顔には黒斑(こくはん)がある。腹面と四肢は背面より濃く、黒褐色に移行する。その形態だけでなく習性もユーラシアのアナグマによく似ていて、トンネルを掘り、夜行性で、雑食性。ただし、森林よりもやや乾いた草原に多い。繁殖習性もアナグマに似て、交尾は秋であるが、2月ごろまで受精卵は着床せず、8~9月に1子から数子を産む。毛皮としては良質でなく、ブラシに利用される程度であるのもアナグマと同じである。寿命は飼育下で13年の記録がある。
[朝日 稔]