日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリタソウ」の意味・わかりやすい解説
アリタソウ
ありたそう / 有田草
[学] Dysphania ambrosioides (L.) Mosyakin et Clemants
Ambrina ambrosioides (L.) Spach
アカザ科(APG分類:ヒユ科)の一年草。薬用植物のケイガイをアリタソウともよぶが、これは本種とは別でシソ科の一年草である。南アメリカ原産の帰化種で強いにおいがある。茎は高さ60~80センチメートル、よく分枝して斜め上に伸び無毛。葉は互生し長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形で先端はとがり、基部はくさび形で短柄があり、縁に不ぞろいの歯牙(しが)がある。茎の上部の葉は線形で小形。7~10月、葉腋(ようえき)に緑色で小形の円錐(えんすい)花序をつけ、花穂にも葉状の包葉が混じる。花被片(かひへん)は3~5個。胞果に光沢のある凸レンズ状の種子を1個含む。和名は、佐賀県有田で栽培されていたことによるといわれる。
全草に毛の多いものはケアリタソウとして区別することがあり、普通に都市に雑草化している。北アメリカ原産のアメリカアリタソウD. anthelmintica (L.) Mosyakin et Clemants(A. anthelmintica (L.) Spach)は、葉は欠刻状のやや深い歯牙縁(しがえん)を有し、花穂は細長くて葉状の包葉を交えず、集まって大きな円錐状をなす。全草にヘノポジ油という精油を含んでおり、駆虫剤として栽培され、野生化もしている。
[小林純子 2021年1月21日]