アカザ科(読み)あかざか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカザ科」の意味・わかりやすい解説

アカザ科
あかざか
[学] Chenopodiaceae

双子葉植物、離弁花類一年草または多年草、まれに低木性のものもある。葉は托葉(たくよう)のない単葉で、互生し質は厚く、鱗片(りんぺん)状に退化するものも多い。花は風媒で、単性または両性小形、帯緑色で放射相称。花被(かひ)は2~5片からなる。雄しべは花被片と同数またはこれより少なく、花被片と対生する。雌しべは1本、子房は上位で1室、胚珠(はいしゅ)は1個で半倒生、花柱は1~3本、胞果は花被に包まれ、種子は1個。アカザホウレンソウ、ビートなど世界に約100属1500種あり、日本にはアッケシソウハママツナオカヒジキアリタソウなど自生種のほか、帰化種も多い。乾燥や塩分に強く、中央アジアの高原や海岸、死海などの塩水湖に特殊な分布をするものが多い。

[小林純子 2021年1月21日]

 アカザ科の植物はAPG分類ではヒユ科に含められ、アカザ科は消滅した。

[編集部 2021年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカザ科」の意味・わかりやすい解説

アカザ科
アカザか
Chenopodiaceae

クロンキストの分類体系における双子葉植物の一科。分子系統学に基づく被子植物の APG分類体系では,アカザ属としてヒユ科に属する。1400~1500種あるとされ,世界に広く分布する。草本ないし小低木であるが,多くは好塩性の植物で,砂漠などの乾燥地に好んで生える。このため主要な分布地は,北アメリカのプレーリーや中央アジアの乾荒原,オーストラリア,アラビア半島,南アメリカのパンパ地帯などで,特殊な植生を構成する。根茎が発達したものが多く,サトウダイコン(砂糖大根)などが代表的である。葉は小さく,しばしば多肉で毛に覆われ,乾燥への適応を示すものが多い。また,塩性湿地に生えるアッケシソウなどでは茎が多肉で節をなし,サボテンを思わせる形状をしている。花は両性花または雌雄花の別がある。花弁は小さく目立たず,通常 5枚,ときに 1~4枚で,花弁をもたない種類もある。おしべは通常花弁と同数,めしべは 1本で子房上位,中に 1個の種子をつくる。雑草として世界的に広がるアカザをはじめとして,植物体にシュウ酸シュウ酸カルシウム結晶を含むものも多い。ホウレンソウ(菠薐草),サトウダイコンなどは世界的に栽培され,また,キノア(キヌア)quinoaはアンデス高地での食糧植物として栽培の歴史が古い。

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