改訂新版 世界大百科事典 「ケアリタソウ」の意味・わかりやすい解説
ケアリタソウ
American wormseed
Mexican tea
Chenopodium ambrosioides L.
アカザ科の一年草。熱帯アメリカ原産の帰化植物で,薬用に栽培したものが大正年間に逸出したといわれる。世界の温暖な地域に広く帰化している。葉に腺があり,もむと強い臭いがある。茎は高さ30~80cmで,全体に開出毛が多く,和名はこの特徴に由来する。毛の少ないものをアリタソウというが,変異は連続し区別はむずかしい。花は7~11月に咲き,葉腋(ようえき)ごとにでる穂状花序につく。花は両性花と雌花の2型があり,小型の雌花ではおしべが退化している。種子は黒褐色で光沢があり,レンズ形で直径約0.7mm。変種のアメリカアリタソウvar.anthelminticum(L.)A.Grayは全株ほぼ無毛で,花序が細く,葉の欠刻があらい。この種からとるヘノポジ油chenopodium oilは強力な駆虫作用がある。とくにアメリカアリタソウはその含量が多く,薬用に栽培される。
執筆者:矢原 徹一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報