アルケスティス
あるけすてぃす
Alkēstis
ギリシア神話の人物。イオルコスの王ペリアスとアナクビシアの娘の一人で、姉妹のうちでもっとも美しく、フェライの王アドメトスの妻となった。ペリアスは、娘に求婚する者に対し、ライオンと猪(いのしし)を同時に戦車につなぐことができれば娘を与えるという難条件を出した。しかしアドメトスは、アポロンの助けを借りてこの条件を克服し、アルケスティスを妻に迎えた。その後、早死にの運命を知らされた夫が自分の身代りとなって死ぬ者を求めたとき、彼女は進んでその犠牲となった。アルケスティスの死後、その若さと美しさにひかれていたヘラクレスは冥界(めいかい)を訪れ、死神との格闘のすえに彼女を取り戻し、アドメトスのもとへ返した。一説では、地下の女神ペルセフォネが、彼女の夫に対する愛情に感動して生き返らせたともいわれる。なお、魔女メデイアが魔法を用いてペリアスを娘たちの手で殺害させたとき、アルケスティスだけは父親殺しに加わらなかった。
[小川正広]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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「アルケスティス」の意味・わかりやすい解説
アルケスティス
ギリシア伝説のテッサリア王アドメトスの王妃。夫の身代りとなって死んだ献身的な貞女。ヘラクレスはその貞節に打たれ,冥府(めいふ)に降りて彼女を現世に連れ戻した。エウリピデスに同名の作品がある。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内のアルケスティスの言及
【タナトス】より
…ホメロスではヒュプノス(〈眠り〉)の兄弟,ヘシオドスではニュクス(〈夜〉)の子とされるが,いずれも抽象的な存在にとどまる。人格神としての彼は,英雄ヘラクレスがタナトスと格闘してアルケスティスを救うエウリピデスの悲劇《アルケスティス》や,シシュフォスにより河神アソポスの娘の誘拐犯人と暴露されて怒ったゼウスが,シシュフォスのもとへタナトスを遣わしたところ,狡猾なシシュフォスはタナトスをだまして縛り上げたため,軍神アレスがそのいましめを解くまで,しばらく死者が出なかったという前5世紀の作家フリュニコスの伝える話などに見いだされる。【水谷 智洋】。…
※「アルケスティス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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