アルケスナン(その他表記)Arc-et-Senans

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルケスナン」の意味・わかりやすい解説

アルケスナン
Arc-et-Senans

フランス東部ドゥー県,ジュラ山脈のふもとにある岩塩鉱山の町。ルイ16世の命により建築家 C.N.ルドゥーが 1775年から 1778年にかけてこの地に王立製塩所を建設した。当初は製塩所を中心とする同心円状の地区に労働者の住宅などを配置するという画期的な町づくりが計画された。製塩所は営業開始後まもなく品質の低下,設備の欠陥などにより経営に行きづまるが,1895年まで工場は稼働した。1926年製塩所管理棟は取り壊されたが,その建築的価値が再考され 1936年から修復が始まった。日の目をみることのなかった都市計画は模型となり,かつての製塩所長宅跡の資料館に展示されている。1982年,製塩所が世界遺産文化遺産に登録。2009年には南東にあるサランレバンの大製塩所を加え拡大登録された。

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百科事典マイペディア 「アルケスナン」の意味・わかりやすい解説

アルケ=スナン

フランス中東部,フランシュ・コンテ地方のブザンソン近くの村で,18世紀に採掘の始まった岩塩鉱山と王立製塩所(サリーヌ・ロワイヤル)がある。ルイ16世治下の1775年−1778年,建築家クロード・ニコラ・ルドゥの設計で,監督官の家を中心に製塩作業場,労働者とその家族の住宅などを同心円状の道に沿って配置した円形の町づくりが進められた。町づくりは未完成に終わり,現在は監督官の家など中心部が残っている。18世紀の理想の産業都市の姿を示すものとして1982年,パイプラインで結ばれた鉱山サラン・レ・バンまでの施設が世界文化遺産に登録。

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世界大百科事典(旧版)内のアルケスナンの言及

【ルドゥー】より

…作品集1巻の大半を占める理想都市ショーChauxの計画案には,そのことが最も顕著に表れている。これは彼が手がけた,ブザンソン近郊アルケ・スナンArc‐et‐Senansの王立製塩工場(1775‐79)を空想的に発展させたもので,奇警な都市施設が開放的な自然環境の中に展開している点が注目される。彼はルイ15世の愛人デュ・バリー夫人をはじめ,有力なパトロンにめぐまれ,壮麗なパリの邸宅(オテル。…

※「アルケスナン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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