フランス東部からスイス北西部を南北に延びる中起伏の山脈で,北はライン川に面するバーゼル付近からはじまり,南はジュネーブからリヨンへ流れるローヌ川付近までつづく。幅は50~60km,長さは約250km。細長く三日月形の山脈で,山脈の西側にあるソーヌ川の平野に凸面を向ける。山脈の最高点はクレ・ド・ラ・ネージュ(1723m)で,ついでルキュレ(1720m),グラン・クレ・ドー(またはクルドス,1624m)などで,いずれもジュネーブ西方にあり,山脈の東縁が高い。この山脈を模式地として地質年代区分のひとつ(ジュラ紀)が設定されたように,山脈はおもに中生代ジュラ紀の石灰岩質の地層からなり,中生代末期から新生代にかけてのアルプス造山運動にともない南東方向から圧縮をうけて褶曲構造が発達した。地質構造の軸は山脈の延長方向(北東~南西)に延び,山稜や谷は地質構造に支配されて背斜山稜や向斜谷をつくる。また差別浸食によって地形の逆転が生じ,背斜谷や向斜山稜などが生じ,ジュラ型地形といわれる組織地形がよく発達している。山地は松,モミなどの森林でおおわれて林業が盛んで,山地斜面を利用した牧畜(とくに乳牛の飼育)とともに,この地方の中心的な産業である。グリュイエール・チーズをはじめとする多数のチーズの産地で,この地方のチーズ製造販売組合は17世紀にはすでにかなりの数に達していたことでも有名である。地形的制約や交通の不便さなどから,山地を刻む谷々には孤立的な村落や小都市が散在し,都市や工業の発達はみられない。わずかに北西山麓にあるブザンソンが目だつのみである。山中には豊かな河川の水量を生かした水力発電所が多数建設されている。
→フランシュ・コンテ
執筆者:米倉 伸之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランスとスイスの国境にある石灰岩の褶曲(しゅうきょく)山脈。アルプスよりも低く、構造は単純である。ジュネーブ南西部でジュラ山脈はアルプス山体から分離して、長さ300キロメートルの弧を描いてスイス中部平野の北西部・西部を取り囲み、ローヌ・ソーヌ地溝、オーバーライン低地に向かって鎌形に張り出した平面形を示す。最高点はスイス領内のクレト・ド・ラ・ネージュ(1718メートル)。アルプスを褶曲させた南東からの推力が、中生代および新生代初期の堆積(たいせき)岩を褶曲させて山地にまで高めたものであるが、褶曲の強さ、時期の違いにより、東半の山脈ジュラ、西半の高原ジュラ、北端の台地ジュラの三つに分けられる。なお、地質時代区分のジュラ紀の名は、初めここで中生代の地層の詳しい研究がなされたため与えられた。
[前島郁雄]
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