アルテミス計画(読み)アルテミスケイカク

デジタル大辞泉 「アルテミス計画」の意味・読み・例文・類語

アルテミス‐けいかく〔‐ケイクワク〕【アルテミス計画】

Artemis program米国中心となって進めている有人月飛行計画。NASA(米国航空宇宙局)と民間企業、JAXA宇宙航空研究開発機構)、ESA欧州宇宙機関)、CSA(カナダ宇宙庁)などが参加。最終目標は月面基地建設としている。2022年11月、大型ロケットSLSによってアルテミス1号の無人宇宙船オリオンが打ち上げられ、月を周回したのち、同年12月に地球に帰還した。

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共同通信ニュース用語解説 「アルテミス計画」の解説

アルテミス計画

米国主導の国際月探査計画。月に向かう有人宇宙船や着陸船、ロケットや宇宙服を開発し、アポロ計画以来の有人月面着陸と、持続的な科学・資源探査を目指す。経験を積み、将来火星探査につなげる目的もある。月面着陸は2028年が目標で、その後も月を訪れ、月面基地を構築する。22年に無人の宇宙船オリオンが月周回に成功。今回の第2弾でオリオンに飛行士4人が乗り月を周回、人類の最遠飛行記録を更新した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルテミス計画」の意味・わかりやすい解説

アルテミス計画
アルテミスけいかく
Artemis program

アメリカ合衆国の有人宇宙飛行計画。2017年始動。2020年代に 1972年12月以来となる宇宙飛行士による面着陸を目指す。「アルテミス」はギリシア神話に登場するアポロンの双子のきょうだいである月の女神の名で,1960~70年代のアポロ計画もまたアポロンに由来する。アルテミス計画は,スペースシャトル退役後に国際宇宙ステーション ISSに宇宙飛行士を送り込むコンステレーション計画が,民間の力を活用する方向で仕切り直しをはかったバラク・オバマ政権によって 2010年に中止されたあとに立案され,アメリカ航空宇宙局 NASAにとっては久々ともいえる野心的な取り組みとなった。コンステレーション計画中止後も有人宇宙船「オリオン」の開発は継続され,ドナルド・トランプ政権が提唱したアルテミス計画の一環をなすものとなった。
オリオン宇宙船は 4人の宇宙飛行士を乗せる円錐形のクルーモジュールと,主要エンジンや水・空気の供給設備および太陽電池パネルを搭載した円筒形のサービスモジュールで構成されている。ヨーロッパ宇宙機関 ESAが製造したサービスモジュールは,ISSへ物資を輸送していたヨーロッパ補給機 ATV(Automated Transfer Vehicle)をベースにしており,2014年12月に初の試験飛行を行ない,地球を 2周した。
一方,オリオン宇宙船打ち上げのため,アメリカ連邦議会は 2010年に新型ロケットの開発を義務づける法案を可決し,かつてないほど強力かつ最大級のスペース・ローンチ・システム SLSが実現した。SLSロケットは第1段(コアステージ)に内蔵した 4基の液体水素・液体酸素燃料エンジンで推進し,コアステージ両脇に配置された固体ロケットブースタ SRBが打ち上げから約 2分後に分離する。その後コアステージは地球軌道に到達し,オリオン宇宙船を軌道に乗せる。燃料満タンの状態の SLSの重量は 260万kg(574万ポンド)で,最大推力は 3900万ニュートン(880万ポンド)である。ちなみにアポロ宇宙船を月に打ち上げたサターン・ロケットV型の重量は 280万kg(620万ポンド)で,最大推力は 3450万ニュートン(760万ポンド)だった。2017年末に運用が始まった SLSの 1回あたりの打ち上げコストは当初 5億ドルと見積もられていたが,計画を大幅に上回り,2021年の報告において 22億ドルにはね上がったことが明らかになった。これはオリオン宇宙船にかかるコストを含めると,アルテミス計画の 1回あたりの打ち上げコストは 40億ドル以上かかることを意味する。
計画の第一弾となる「アルテミス1」は,オリオン宇宙船(無人)の深宇宙での安全性と性能を確認するため 2022年11月16日に SLSで打ち上げられ,月面から約 7万km離れた月の軌道を周回し,25.5日間かけて太平洋に着水した。「アルテミス2」は 2026年4月1日,オリオン宇宙船に 4人の宇宙飛行士(リード・ワイズマン,ビクター・グローバー,クリスティーナ・コック,ジェレミー・ハンセン)を乗せて打ち上げられ,月の裏側を回り,地球からの人類最遠到達記録(約40万6770km〈25万2756マイル〉)を達成し 4月10日に帰還,カリフォルニア州サンディエゴ沖合いの太平洋上に着水した。
NASAは 2027年の「アルテミス3」での宇宙飛行士の月面着陸を目指していたが,地球軌道上での月着陸船の試験に変更すると発表した。アルテミス3では,民間企業スペースX製造の月着陸船とオリオン宇宙船がドッキングすることが計画されているほか,宇宙服のテストも行なわれる。2028年に予定されている「アルテミス4」では 2人の宇宙飛行士が,永久影であり水が豊富に存在するとされる月の南極地域で約 1週間過ごす予定である。かつてのアポロ計画が月の赤道地域を探索したのとは異なり,アルテミス4のミッションには宇宙飛行士が 1~2ヵ月程度滞在できるベースキャンプの建設が含まれる。NASAの長期計画では,このベースキャンプを拡大して恒久的な月面施設にする予定である。

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