1968年以来深海掘削計画Deep Sea Drilling Program(略称DSDP)に従事し、同計画が国際協力事業に拡充された75年以降も引き続き稼動、1983年11月退役した掘削船。アメリカのグローバル・マリン社の持ち船で、スクリップス海洋研究所が運用していた。全長122メートル、幅20メートル、喫水6メートル、排水量1万0500トンで、船の中央に水面上21メートルにも達する掘削用の櫓(やぐら)を有し、水面下7000メートルまでの海底ボーリングが可能であった。海底に音波発振器を沈め、信号を船体の3個の水中聴音器で受信。その到達時間から船位を計算し、機関とコンピュータを連動させて操船、錨(いかり)を用いずに、洋上の一点にとどまることができた。なお、85年からの国際深海掘削計画Ocean Drilling Program(略称ODP)事業では、本船より性能の高いジョイデス・レゾリューション号(排水量1万8600トン)が従事している。
[安井 正・佐伯理郎]
『ケネス・ジンファ・シュー著、高柳洋吉訳『地球科学に革命を起こした船――グローマー・チャレンジャー号』(1999・東海大学出版会)』▽『ケネス・ジンファ・シュー著、岡田博有訳『地中海は沙漠だった――グロマー・チャレンジャー号の航海』(2003・古今書院)』
アメリカの深海掘削船。1967年3月進水。長さ122m,中央部に高さ61mの掘削用やぐらをもつ。排水量1万1000トン。約6000mの海底を掘削できる。このため,海底においたソナーの音波を受け,4個のサイドスラスターとメインスクリューを操作し船の位置を一定に保つ装置と,ドリルの先をいったん引き上げ,ふたたび同じ孔に入れる装置をもつ。JOIDES(ジヨイデス)計画のためにアメリカ科学財団の基金で建造され,国際協同計画IPOD(アイポツド)で使用された。この間,世界の各大洋の海底年代の測定,堆積構造の調査などを行い,海洋底拡大説の立証など地球科学に大きな成果を収めた。
→深海掘削計画
執筆者:佐藤 任弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…DSDPでは,モホール計画の失敗を教訓として,モホ面まで貫くという意図はあきらめたが,もっと浅い掘削によって深海堆積物や地殻上部を研究しようというもので,当初はアメリカの数個の海洋研究所が合同・立案し,JOIDES(ジヨイデス)(Joint Oceanographic Institutions Deep Earth Sampling Program)の名のもとに1968年開始された。掘削船としてはグロマー・チャレンジャー号Glomar Challenger(1万1000トン)が使用されてきた。1976年以来,この計画は米,日,英,仏,独,ソ連の国際協同によるIPOD(アイポツド)(International Programme of Ocean Drilling)となり,1983年秋,第96節航海をもって終了した。…
…DSDPでは,モホール計画の失敗を教訓として,モホ面まで貫くという意図はあきらめたが,もっと浅い掘削によって深海堆積物や地殻上部を研究しようというもので,当初はアメリカの数個の海洋研究所が合同・立案し,JOIDES(ジヨイデス)(Joint Oceanographic Institutions Deep Earth Sampling Program)の名のもとに1968年開始された。掘削船としてはグロマー・チャレンジャー号Glomar Challenger(1万1000トン)が使用されてきた。1976年以来,この計画は米,日,英,仏,独,ソ連の国際協同によるIPOD(アイポツド)(International Programme of Ocean Drilling)となり,1983年秋,第96節航海をもって終了した。…
※「グロマーチャレンジャー号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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