オリオン(その他表記)Ōrīōn

デジタル大辞泉 「オリオン」の意味・読み・例文・類語

オリオン(Ōrīōn)

ギリシャ神話で、美男子で巨人猟師女神アルテミスの怒りにふれて殺されたとも、さそりに刺されて死んだともいわれる。死後、天に昇って星座となった。
OrionNASAナサが開発を進めていた有人宇宙船。2004年発表のコンステレーション計画の一部として研究が開始。シャトル型でなく、アポロ計画の探査機に見られたカプセル型の形状を採用。最大6人乗りで国際宇宙ステーションとのドッキングのほか、火星の探査にも使われる予定だった。コンステレーション計画は2010年に中止されたが、2022年11月、次期大型ロケットSLS(Space Launch System)に、オリオン計画を継承した多目的有人飛行船(オリオンMPCV)が無人で搭載され、打ち上げに成功。同年12月、月周回ののち、無事地球に帰還した。

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精選版 日本国語大辞典 「オリオン」の意味・読み・例文・類語

オリオン

  1. ( [ギリシア語] Ōriōn )
  2. [ 一 ] ギリシア神話の、美しい巨人の狩人。海神ポセイドンの息子。キノス王オイノピオンの娘を得ようとして、盲目にされるが、アポロンの陽光を受けて視力を回復する。のち、アルテミス女神に仕えるが、女神が差し向けたサソリに刺されて死んだという。死後星座となったが、サソリも同じく星座となったため、天に昇ってもなお、オリオン座はサソリ座から逃げ回っているといわれる。〔改訂増補や、此は便利だ(1918)〕
  3. [ 二 ]オリオンざ(━座)」の略。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「剣と帯とを持たる人に像たるものを『オリヲン』と名く」(出典:具氏博物学(1876)〈須川賢久訳〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「オリオン」の意味・わかりやすい解説

オリオン
Ōriōn

ギリシア神話の巨人にして美男の狩人。海神ポセイドンの子。キオス島の王オイノピオンOinopiōn(酒顔の意)の娘メロペMeropēに求婚したが,その粗暴なふるまいを憎んだ王は,巨人が酒に酔って眠りこけているあいだにその両眼をつぶし,彼を浜辺にうち棄てた。しかし太陽の昇る地点で目を陽光にさらすべしとの神託をうけたオリオンは,父神から水上を闊歩(かつぽ)する力を授かっていたので海を渡ってレムノス島へ行き,そこで鍛冶の神ヘファイストスの工人ケダリオンKēdaliōnを道案内に請い受け,彼に東方へ導かれて視力を回復した。その後,王に復讐すべく再びキオス島へ渡ったものの,島民が王を地下の穴倉にかくまったために仇討がかなわず,クレタ島で女神アルテミスと狩りをして暮らした。この先,彼の最期についてはさまざまの伝承がある。2人の仲を心配した兄神アポロンが妹のアルテミスをだまして,沖で遊泳中のオリオンを遠矢で殺させたとする説,オリオンがアルテミスを犯さんとしたため女神に射殺された,あるいは女神の放ったサソリに刺されて死んだとする説,さらには,オリオンは曙の女神エオスに恋人としてさらわれたが,それが他の神々の不興を招いたため,デロス島でアルテミスに射殺されたとする説等である。死後,彼は天に上げられて星となり,アトラスの七人娘プレイアデス(すばる)を追いかける一方,みずからはつねにさそり座の星から逃れようとしているという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリオン」の意味・わかりやすい解説

オリオン(宇宙船)
おりおん
Orion

NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)が開発している有人宇宙船。2011年のスペースシャトルの引退後、国際宇宙ステーションや月および火星などへの有人輸送手段として開発が始まった。形状はアポロ計画の際の宇宙船に類似しているが、使い捨てではなく複数回の使用が想定されている。打ち上げ用ロケットは、デルタⅣヘビーHeavyで実験されているが、運用段階ではアレスⅠの予定である。オリオン本体の大きさは直径5メートル、与圧部分の体積は約20立方メートル、居住部分の体積は約9立方メートルである。本体の質量は約10トンで、機械船なども含めると約25トンになる。当初、NASAの次期有人月着陸計画であるコンステレーション計画での使用を前提に開発されていた。しかし、計画の中止に伴い、スペースシャトルの代替機として国際宇宙ステーションへの人員と物資の輸送に開発目標が変更された。その後、小惑星や火星への有人探査も視野に開発が続けられている。2014年12月には無人での初飛行を成功させ、2022年11月にはアルテミス計画(国際有人月探査計画)の1号機として、月周回軌道への無人試験飛行を成功させた。2024年にはアルテミス2号機として乗員4名による月楕円軌道への有人飛行を予定している。

[編集部 2023年10月18日]



オリオン(ギリシア神話)
おりおん
Ōrīōn

ギリシア神話に登場する狩りの名人。海神ポセイドンとエウリアレの子とされているが、大地の女神ガイアから生まれたという伝承もある。オリオンの最初の妻シデは、女神ヘラと美を競ったため、冥界(めいかい)タルタロスへ投げ込まれた。妻を失ったオリオンは、のちにキオス島の王オイノピオンの娘メロペに求婚するが、野獣退治を条件に結婚を約束した王は、その約束を守るどころか、ディオニソス神の助力を得てオリオンを酔わせ、眠っている間にその目を突き刺して盲目にした。しかし彼は、神託に従ってヘファイストス神の鍛冶場(かじば)から少年をさらって肩に乗せ、太陽の昇る方向を目ざして進んで行き、やがてアポロンの放つ陽光を受けてふたたび視力を取り戻すことができた。彼は王に復讐(ふくしゅう)を果たすためキオス島へ引き返したが、王はヘファイストス神につくってもらった地下の部屋に逃げ込んだので、ついに復讐は果たせなかった。

 のちにオリオンはアルテミス女神に仕えるが、あるとき情欲を抱いて彼女を犯そうとしたため、怒った女神が送った巨大なサソリに刺されて死んだ。またこれには曙(あけぼの)の女神エオスとオリオンが恋仲になったため、アルテミス女神が嫉妬(しっと)してサソリを差し向けたという異説もある。オリオンは死後星座となったが、オリオンを倒したサソリも同じく星座となったため、天上に昇ってもなおオリオン座は、さそり座から逃げ回っているといわれる。

[小川正広]

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百科事典マイペディア 「オリオン」の意味・わかりやすい解説

オリオン

ギリシア神話の巨人。美男の狩人として知られる。アポロンあるいはアルテミスに射殺された,後者の放ったサソリに刺されて死んだなどの伝承がある。サソリとともに天に挙げられて星座となり,以来オリオン座は常にさそり座からのがれようとしているという。
→関連項目プレイアデスポセイドン

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知恵蔵mini 「オリオン」の解説

オリオン

NASA(アメリカ航空宇宙局)が、国際宇宙ステーションや月、火星に宇宙飛行士を運ぶために開発を進めている宇宙船の名称。スペースシャトルが2010年に引退した後、その後継機として開発された。国際宇宙ステーションには6人、月には4人の宇宙飛行士を運ぶことが可能で、10回程度再使用することができる。オリオンという名称は、夜空で最も明るく見つけやすく、知名度もあるとされる星座のオリオン座に由来している。20年3月、NASAはオリオンの主要なテストを終え、機体を報道機関に公開した。

(2020-3-17)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリオン」の意味・わかりやすい解説

オリオン
Orion

星座となったギリシア神話の巨人。ポセイドンの子で,怪力であると同時に,すこぶる美男で,狩猟を愛好し,曙女神エオスの愛人となったが,このことが原因でアルテミスの矢で射殺されたとも,また別伝ではアルテミスに欲情し乱暴しようとしたために,女神に送られたさそりに刺され死んだともいわれる。死後は愛犬と一緒に天に上げられ,オリオン座と大犬座になったとされる。

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世界大百科事典(旧版)内のオリオンの言及

【プレイアデス】より

…ギリシア神話で,ティタン神アトラスとプレイオネPlēionē(オケアノス〈大洋〉の娘)の7人の娘,アルキュオネAlkyonē,メロペMeropē,ケライノKelainō,エレクトラĒlektra,アステロペAsteropē,タユゲテTaygetē,マイアMaia(伝令神ヘルメスの母)の総称。彼女たちはその母とともにボイオティア地方の森の中で,狩人のオリオンに5年にわたって追われつづけたため,これを憐れんだゼウスが母娘も追手もともに天に上らせ,オリオンを犬を連れた狩人の星に,娘たちをそのオリオン星から逃れようとする7羽の鳩(古代ギリシア語でペレイアデスpeleiades)の星(和名は昴(すばる))に化したという。プレイアデスの名はのちにプトレマイオス2世(前3世紀)治下のアレクサンドリアに集まった多くの悲劇詩人のうち,リュコフロンらの特にすぐれた7人の称として用いられた。…

※「オリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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