アルドステロンの標的臓器

六訂版 家庭医学大全科 の解説

アルドステロンの標的臓器
(内分泌系とビタミンの病気)

 副腎皮質から分泌されるアルドステロンはおよそ50年前に発見され、それ以来ずっと、腎臓の集合管と呼ばれる場所に作用するホルモンであると認識されていました。

 尿細管や集合管は、体に必要な電解質(酸・塩基など)や水分などの排泄を調節する場所で、アルドステロンが作用する集合管細胞には、ナトリウムを再吸収したり、カリウムを排泄したりする経路ポンプがあります。アルドステロンはこれらに作用し、体のナトリウムの再吸収やカリウムの排泄を促し、血圧に影響していると考えられていました。

 実際、アルドステロンが過剰に分泌される原発性アルドステロン症は、低カリウム血症と高血圧を来す病気で、治療によりアルドステロンの過剰が是正されると血圧も改善します。

 アルドステロンが腎臓に作用し、カリウムや血圧に影響するのは確かですが、近年、これらの作用以外に、アルドステロンは心臓血管などの臓器を直接障害することが明らかになってきました。そして、これまでアルドステロン作用阻害薬として、腎臓に対する作用だけを考えて使っていた薬剤スピロノラクトン)が、うっ血性心不全などの心臓の病気にも有効であることが示されています。最近では、アルドステロンの作用に注目した新しい心臓の薬や血圧の薬も開発されています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報