改訂新版 世界大百科事典 の解説
アレムダル・ムスタファ・パシャ
Alemdar Mustafa Paşa
生没年:1750?-1808
オスマン帝国の軍人,政治家。イエニチェリ軍団で活躍して認められ,のちルスチュク(現,ブルガリア領ルセ)のアーヤーン職に任じられた。1807年,セリム3世(在位1789-1807)の〈新体制〉に反対してイエニチェリがイスタンブールで反乱を起こし,セリム3世が廃位されると,兵を率いて首都へ急行してイエニチェリを抑え,マフムト2世を即位させて自ら大宰相となった(1808)。その後,セリム3世の遺志に沿って改革を進めようとしたが,イエニチェリの反感を買い,彼らに襲われて自殺した。死の直前,各地のアーヤーンを集めて政府との間に結ばせた〈連合盟約〉は,アーヤーンによる中央権力規制を示すものとして知られている。
執筆者:新井 政美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報