ルセ(読み)るせ(その他表記)Ruse

デジタル大辞泉 「ルセ」の意味・読み・例文・類語

ルセ(Ruse/Русе)

ブルガリア北部の都市。ドナウ川を挟んでルーマニア国境を接し、対岸の都市ジュルジュと橋で結ばれる。1世紀にローマ帝国の要塞セクサギンタプリスタが築かれ、第二次ブルガリア帝国時代に交易拠点となった。オスマン帝国支配下ではルスチュクとよばれ、商工業で栄えた。19世紀半ばに鉄道が開通し、独立時には北ブルガリア一帯における文化・経済・行政の中心地になった。白ワインの産地として有名。ノーベル賞作家カネッティの生地。ルーセ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルセ」の意味・わかりやすい解説

ルセ
るせ
Ruse

ブルガリア北部、ルセ県の県都。人口17万8435(2001)。ドナウ川沿岸の都市。ドナウ河川交通の国内最大の拠点。対岸のルーマニアのジュルジュと結ばれた橋は、鉄道と車両用の二層構造で、旧ソ連・東欧圏とバルカン東部やトルコを結ぶ陸上交通の要所でもある。町は1世紀のローマの要塞(ようさい)セクサンタ・プリスタSexanta Prista(60隻の戦艦)に由来する。1388年にオスマン帝国の支配下に入り、ルスチュクとよばれる強大な要塞がつくられ、多民族・多文化の都市となり、モスクや正教会のほかに、アルメニア正教会やユダヤ教のシナゴーグも建設された。1864年に北ブルガリア一帯を含むドナウ州の州都となり、改革派のミトハト・パシャが着任すると、農業機械を導入した実験農場や今も残る中欧様式の都市建設など改革のさまざまな試みが行われた。1878年の独立時、ブルガリア公国で最大の人口をもつ都市であった。機械、金属加工業、食品産業が発達し、一帯で生産される白ワインでも知られる。市内には大学、オーケストラ、劇場があり、地域の文化的中心地となっている。1981年のノーベル賞受賞作家カネッティはルセ出身である。

[寺島憲治]

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改訂新版 世界大百科事典 「ルセ」の意味・わかりやすい解説

ルセ
Ruse

ブルガリア北部の都市で,同名県の県都。人口15万7870(2005)。ドナウ川右岸の河港ソフィアブカレスト,モスクワを結ぶ鉄道幹線の要衝で,空港もある。ドナウ川経由の国際水運はブルガリア国民経済の動脈であり,輸出入の多くはこの港を経由する。対岸のルーマニア領ジュルジュとは1954年に完成した2階建ての鉄橋によって結ばれている。農業機械,造船,電気機器,金属,繊維,皮革,製粉,製糖,木材加工,窯業,化学,タバコなどの諸工業がある。機械,造船,経済の各大学があり,博物館は多くの古代遺物を所蔵している。

 ローマ帝国の城塞セクサンタ・プリスタSexanta Pristaとして創設された。14世紀の終りにブルガリアがオスマン帝国の属領となって以後重要な軍事拠点となり,また行政・商業中心としておおいに発展した。1877年にブルガリア領となり今日に至る。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルセ」の意味・わかりやすい解説

ルセ
Ruse

ブルガリア北部,ラズグラド州の都市。ドナウ川の大河港都市。ブルガリア最大の河港で,対岸のルーマニアのジウルジウとはドナウをまたぐ「友情の橋」 (1954) で結ばれ,鉄道,道路がルーマニアに通じている。工業都市としても最近発展し,石油精製,機関車,織機,食品加工,農業機器,皮革などの工場が多い。漁業およびブドウ栽培も盛ん。今日の市域は前1世紀のローマ時代の港セクサギンタプリスタのあった場所に第1次ブルガリア帝国時代に建設された都市のものであるが,当時の名称は知られていない。 1585年オスマン帝国治下のこの町はルスチュクと呼ばれ,行政,軍事,商業の中心地であった。 1877年ブルガリア領に復帰。人口 19万 2365 (1991推計) 。

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百科事典マイペディア 「ルセ」の意味・わかりやすい解説

ルセ

ブルガリア北部,ドナウ川右岸の河港都市。鉄道,道路の中心で,対岸のルーマニアのジュルジュとは鉄橋(1954年完成)で結ばれる。造船,機械,製油,化学,繊維,食品などの工業が盛ん。起源は古代ローマの都市プリスタで,17世紀トルコ支配下に繁栄した。1878年ブルガリア領。1988年に生まれた大気汚染を告発する組織は,翌年の改革を促す一因ともなった。14万9642人(2011)。

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