アンセルム(その他表記)Anselm von Havelberg

改訂新版 世界大百科事典 「アンセルム」の意味・わかりやすい解説

アンセルム
Anselm von Havelberg
生没年:?-1158

中世ドイツの聖職者。リューティヒ(現,ベルギー領リエージュ)地方に生まれ,ラン司教座聖堂で学び,そこで後のマクデブルク大司教クサンテンのノルベルトゥスNorbertusと知り合い,1129年ハーフェルベルクの司教に任じられたが,その政治・神学上の活動は広範であった。47年対ウェンド人十字軍の教皇特使となり,またロタール3世からフリードリヒ1世までの神聖ローマ皇帝の外交使節を務め,3度もコンスタンティノープルを訪れ,ロンバルディア都市同盟とフリードリヒ1世とのコンスタンツ和議では皇帝側の代表となった。神学上の主著《対話編》3巻(1150)は1135(または1136)年のコンスタンティノープルでの論争や44年のトスカナでの論争を反映し,東西教会の対立点を浮彫にしている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「アンセルム」の解説

アンセルム(カンタベリの)
Anselm of Canterbury

1033~1109

ベネディクト修道会スコラ哲学者。イタリアに生まれ,フランスで学び,1093年イギリスのカンタベリ大司教となる。実在論により唯名論に反論し,「理解するためにわれ信ず」という命題を立てた。古代以来の諸説を集めた『命題集』によって「スコラの父」と呼ばれる。イングランド王ウィリアム2世ヘンリ1世王権に対抗して叙任権を争い,追放されたが教権を守った。

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