改訂新版 世界大百科事典 「アンチューサ」の意味・わかりやすい解説
アンチューサ
bugloss
Anchusa
ヨーロッパ,アフリカ,アジアの各地に30~40種あるムラサキ科の二年草。数種が花壇や切花用に栽培されるが,多くつくられるのは,地中海沿岸地方原産のアンチューサ・アズレアA.azurea Mill.(=A.italica Retz.)で,5~6月に碧藍(へきらん)色の花をつけて美しい。草丈は1~1.5m,葉は長楕円形で大きく茎葉に粗い毛があるので,和名はウシノシタクサという。春には枝を分けてその先端に巻散(けんさん)花序に5弁の筒状花をつける。花はワスレナグサの花を大きくしたようで,つぼみはやや赤みを帯びる。改良種には高さ20~25cmで咲く矮性種もある。二年草であるから,秋まきでは次年には開花しないが,4~5月にまいた苗は翌年の6~7月に開花する。小苗のうちは移植もできるが,大苗の移植は好ましくない。初夏の花壇に咲くと白や黄色の他の花をひき立ててくれる。
また南アフリカ原産のアンチューサ・カペンシスA.capensis Thunb.(英名Cape bugloss)は前種より1ヵ月ほどおくれて開花する一年草で,同様に利用される。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報