改訂新版 世界大百科事典 「アンドレアデルサルト」の意味・わかりやすい解説
アンドレア・デル・サルト
Andrea del Sarto
生没年:1486-1530
ルネサンス末期のイタリアの画家。フィレンツェ生れ。本名アンドレア・ダニョロ・ディ・フランチェスコAndrea d'Agnolo di Francesco。ピエロ・ディ・コジモ,フランチャビジョFranciabigioに学ぶ。レオナルド・ダ・ビンチ,ミケランジェロ,ラファエロの美点を総合し,バザーリによって〈欠点なき画家〉と呼ばれた技巧派。代表作《アルピエの聖母》(1525)は,左右相称の構成,光と影にみちた彩色,表情のある人物など,ルネサンスの諸技法を総合した古典的作品であるが,《聖母の被昇天》(1530)では,以上の諸要素を誇張して,マニエリスティックな激しさと破綻を示している(マニエリスム)。弟子に,ロッソ・フィオレンティーノ,ポントルモなど最初のマニエリストたちがいる。
執筆者:若桑 みどり
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報