イエンウオ(読み)いえんうお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イエンウオ」の意味・わかりやすい解説

イエンウオ
いえんうお / 燕窩

南方にすむアナツバメの巣で、海藻を唾液で固めたものである。中国料理では最高級の料理材料。燕窩の出る席は燕窩席(イエンウオシー)あるいは燕席(イエンシー)といい第一級の宴席で、大件(ターチエン)(本菜)の最初の料理として供する。

 燕窩は、インドシナ半島マレー半島、ボルネオ島北部などにすむアナツバメの巣を採取したものである。このツバメは外敵危害を避けて海岸の絶壁に巣をつくる習性のため、採取する人は断崖(だんがい)からつるした籠(かご)の中に入って採取するといわれ、採取の困難さも加わって珍重される。それ自体には特別の味はないが、栄養的にはタンパク質、ミネラル、とくにリンを含有するので、中国では古くから不老長寿の食品として珍重された。品質には差があり、したがって価格も開きがある。人為的に営巣させ、採取したものも、比較的安価で流通している。形状は径3センチメートル、高さ10センチメートルくらいの繊維状質の蓮(はす)の花弁形で、形が整い、白く光沢があって、中に混入しているツバメの細毛が少ないものほど上等品で、これを官燕(コワンイエン)という。羽毛が多く混入している灰色のものを灰燕(ホイイエン)、また形の砕けたものは下級品で燕絲(イエンスー)という。

 調理法は、初め2~3時間ぬるま湯に浸す。もどらないものは、熱湯をたっぷり入れて鍋(なべ)に蓋(ふた)をして3時間くらい置き、湯が冷めたら2、3回湯を取り替えると、しだいに膨張して4~5倍くらいになり自然にはがれる状態になる。このとき、湯の中に手を入れ、手のひらに燕窩をのせてピンセットで羽毛を取り除き、きれいになったら布巾(ふきん)を敷いたざるにそっとあけて水で洗い、少量の塩と酒を入れたスープで30分間蒸し味を含ませておく。以上の処理ののち、湯菜(タンツァイ)、菜(ホイツァイ)などの料理に用いる。

[野村万千代]


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