イシカワガエル(読み)いしかわがえる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イシカワガエル」の意味・わかりやすい解説

イシカワガエル
いしかわがえる / 石川蛙
[学] Rana ishikawae

両生綱無尾目アカガエル科のカエル。動物学者の石川千代松にちなんで命名された。奄美大島(あまみおおしま)と沖縄本島山地に生息する大形種で、体長は約10センチメートル。背面緑色暗紫色の大形斑紋(はんもん)がある。斑紋の中央部は隆起し、それを中心に放射状の金線が走る。腹面は白色で不規則な暗色斑が散在する。指端に吸盤がある。渓流の岩の上や樹上にみられる。産卵期は2~5月で、水源近くの伏流水のたまりに、径約4ミリメートルの黄白色をした大きな卵を産む。幼生は流れのよどんだ場所で発育する。

倉本 満]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イシカワガエル」の意味・わかりやすい解説

イシカワガエル
Rana ishikawae; Ishikawa's frog

カエル目アカガエル科。体長 10cm以上になる比較的大型のカエル。体は緑色で,黒紫色の斑紋があり,胴ではその斑紋の上が円錐状に高まって,放射状になった黄金色しわをそなえている。指先はふくれて丸い吸盤になり,樹上での生活に適している。卵は黄白色で非常に大きく,渓流上部の岸の穴に産みつけられる。幼生は谷川に出て成長する。奄美大島と沖縄本島の特産種で,沖縄では県の天然記念物に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内のイシカワガエルの言及

【アカガエル(赤蛙)】より

…これはおそらく水中で呼吸器官としての機能を果たすものと考えられている。日本産アカガエル類20種のうち最も美しいのは奄美大島・沖縄本島産のイシカワガエルR.ishikawae(イラスト)で,体長10~13cm,山地の森林中に生息し昼間は横穴に隠れている。体長14cmに達する奄美大島産オットンガエルRana (babina) subaspera(イラスト)と前者より少し小さい沖縄本島産ホルストガエルR.(b.) holstiは2種でバビナ属を構成している。…

※「イシカワガエル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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