日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタボガキ」の意味・わかりやすい解説
イタボガキ
いたぼがき / 板甫牡蠣
Densely lamellated oyster
[学] Ostrea denselamellosa
軟体動物門二枚貝綱イタボガキ科の二枚貝。本州、四国、九州および朝鮮半島、中国沿岸に分布する。内湾の水深10~30メートルの海底の岩礫(がんれき)に付着したり、互いに接して団塊状になって生活する。殻長、殻高ともに13センチメートルぐらいになり円板状で、右殻は平たく、殻表は成長線と一致する檜皮(ひわだ)状の殻皮で覆われ、多くの放射条がある。左殻は殻頂部で他物に付着し、やや深く粗い成長輪と不規則な放射肋(ろく)がある。また殻頂の左右に耳状の突起が出て、殻内は白く筋肉痕(こん)は赤褐色。胎生種で、同一個体の性が交代する。産卵期は5~8月で、成育の好適塩分は27~34‰である。食用となり、一時養殖が試みられたが、肉質が日本人に向かず継続されなかった。
[奥谷喬司]