イットリウム鉄ガーネット(読み)イットリウムてつガーネット(その他表記)Yttrium Iron Garnet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

イットリウム鉄ガーネット
イットリウムてつガーネット
Yttrium Iron Garnet

Y3Fe5O12 で表される組成をもつ代表的な磁性化合物。立方晶系ガーネット型構造をもつ結晶で,フェリ磁性を示す。通常 YIGと呼ばれ,マイクロ波用磁性材料として用いられる。この赤褐色結晶は磁気光学効果を示し,磁気共鳴現象では共鳴磁界の半値幅がきわめて狭い。このような特徴をいかして,光を一方向にしか通さない光アイソレータ isolatorやマイクロ波を一定方向に導くサーキュレータ circulatorなどの各種マイクロ波用非可逆回路素子として利用される。また YIGは低減衰率で静磁波,スピン波,磁気弾性波,磁気表面波などを励振伝搬させることができるため,その伝搬速度が遅いことを利用した超小型の遅延素子材料として,またマイクロ波信号処理装置用材料としての可能性が注目されている。

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化学辞典 第2版 の解説

イットリウム鉄ガーネット
イットリウムテツガーネット
yttrium iron garnet

Y3Fe5O12.略称YIG.ガーネット型フェライトで,キュリー温度560 K のフェリ磁性体であり,Yの位置ほかの希土類イオンで置換して種々の特性を変化させることができる.スピネル型フェライトに比べてマイクロ波領域での損失が非常に小さい.また,透明でファラデー効果カー効果が大きいので,赤外光に対する磁気光学結晶として応用される.結晶成長法としては,フラックス法によるのが一般的であるが,磁気光学結晶としてはフラックス法でつくった結晶基板の上にエピタキシャル(エピタキシー)成長させたものが用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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