翻訳|epitaxy
ギリシア語に由来する結晶学用語で,〈規則的に重なる〉の意。訳語として配向重複成長をあてる。ある結晶の上に他の結晶が成長する場合に,二つの結晶の結晶軸がほぼ合致して成長していることをいい,このような結晶成長をエピタキシャル結晶成長と呼ぶ。エピタキシャル結晶成長をするためには,二つの結晶の接合する面において,2結晶の相互に一致する方向の許容併進周期差が最大で15%程度である必要がある。接合する面の対称性が一致する分子結晶では,併進周期差が20%を超える場合がある。前者の例ではゼノタイムとクサビ石,赤鉄鉱とチタン鉄鉱の間で,後者の例ではテルルとセレンの間で,結晶軸が合致して成長する例は有名である。
電子工業では,基体(板)上に同一物を方位を合わせて成長させる場合にもいい,基板と成長させる結晶が異なる場合をとくにヘテロエピタキシーと呼ぶことが多い。1960年ころからエピタキシャル結晶成長がシリコン,リン化ガリウムやヒ化ガリウムなどを材料とする半導体デバイス製造に多用されている。特にサファイア(コランダム)上のシリコン成長をSOS(silicon on saphireの略)と呼びLSI製作に使用されている。また,ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)結晶上に希土鉄酸化物ザクロ石型結晶を成長させて磁気バブルメモリーの製作に用いられている。これらの製作には,気相で成長させる方法(シリコン,ヒ化ガリウム)や溶液相で成長させる方法(リン化ガリウム,希土鉄酸化物ザクロ石)が使用されている。
1970年ころから超高真空中での蒸着や分子線を用いる方法(MBE。molecular beam epitaxyの略),有機金属化合物を用いる方法,基板上の薄い多結晶や非晶質薄膜を加熱して固相のまま,あるいは一部融解させてエピタキシー成長させる方法の開発も進んでおり,一部実用化されている。三次元デバイスはこのような方法を繰り返し使用し,積層化をはかる。
執筆者:高須 新一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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一つの結晶の上にほかの結晶がなんらかの一定の方位関係をもって成長する現象.epi-( = on)と,-taxy( = orderly arrangement)の合成語.双方の結晶の表面構造と状態がよく似ている場合に起こりやすい.天然の鉱物では古くから知られているが,最近,単結晶の育成の際,とくに蒸着法により基板結晶上に薄膜を作成する際によく問題とされる.エピタキシーの観測手段としては,光学顕微鏡(結晶の外形から方位関係を調べる),X線電子線回折(結晶格子の方位関係),電子顕微鏡(薄膜の組成や格子欠陥の検出,モアレ像による方位関係の観察)などがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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