エピタキシー(その他表記)epitaxy

翻訳|epitaxy

デジタル大辞泉 「エピタキシー」の意味・読み・例文・類語

エピタキシー(epitaxy)

ある結晶表面に、構造のよく似た他の結晶が成長する現象。ダイオードトランジスターなどの製造工程に応用

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精選版 日本国語大辞典 「エピタキシー」の意味・読み・例文・類語

エピタキシー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] epitaxy ) ある結晶表面に、構造のよく似た他の結晶が成長する現象。ダイオードやトランジスタなどの製造工程に応用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「エピタキシー」の意味・わかりやすい解説

エピタキシー
epitaxy

ギリシア語に由来する結晶学用語で,〈規則的に重なる〉の意。訳語として配向重複成長をあてる。ある結晶の上に他の結晶が成長する場合に,二つの結晶の結晶軸がほぼ合致して成長していることをいい,このような結晶成長をエピタキシャル結晶成長と呼ぶ。エピタキシャル結晶成長をするためには,二つの結晶の接合する面において,2結晶の相互に一致する方向の許容併進周期差が最大で15%程度である必要がある。接合する面の対称性が一致する分子結晶では,併進周期差が20%を超える場合がある。前者の例ではゼノタイムとクサビ石,赤鉄鉱チタン鉄鉱の間で,後者の例ではテルルセレンの間で,結晶軸が合致して成長する例は有名である。

 電子工業では,基体(板)上に同一物を方位を合わせて成長させる場合にもいい,基板と成長させる結晶が異なる場合をとくにヘテロエピタキシーと呼ぶことが多い。1960年ころからエピタキシャル結晶成長がシリコンリン化ガリウムヒ化ガリウムなどを材料とする半導体デバイス製造に多用されている。特にサファイアコランダム)上のシリコン成長をSOS(silicon on saphireの略)と呼びLSI製作に使用されている。また,ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)結晶上に希土鉄酸化物ザクロ石型結晶を成長させて磁気バブルメモリーの製作に用いられている。これらの製作には,気相で成長させる方法(シリコン,ヒ化ガリウム)や溶液相で成長させる方法(リン化ガリウム,希土鉄酸化物ザクロ石)が使用されている。

 1970年ころから超高真空中での蒸着や分子線を用いる方法(MBE。molecular beam epitaxyの略),有機金属化合物を用いる方法,基板上の薄い多結晶や非晶質薄膜を加熱して固相のまま,あるいは一部融解させてエピタキシー成長させる方法の開発も進んでおり,一部実用化されている。三次元デバイスはこのような方法を繰り返し使用し,積層化をはかる。
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百科事典マイペディア 「エピタキシー」の意味・わかりやすい解説

エピタキシー

一定の結晶面上に,別種(または同種)の単結晶結晶方位を揃えて成長していく現象。あるいは,半導体結晶基板上などに,そうした単結晶薄膜を成長させる技術をいう。方解石上に成長した水晶など天然の鉱物でも数多く見られるが,半導体などの材料技術として,特に半導体間の接合,金属と半導体間の接合などを形成するのに重要。結晶成長を液相で行わせるか気相で行わせるかによって,液相エピタキシー,気相エピタキシーなどと呼ばれる。また,近年は高真空中に原子や分子を飛ばせて蒸着させる技術が著しく発展し,分子線として材料物質を供給する分子線エピタキシーや,一原子層ずつ結晶成長を制御する原子層エピタキシーの技術も開発されている。
→関連項目ナノテクノロジー

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化学辞典 第2版 「エピタキシー」の解説

エピタキシー
エピタキシー
epitaxy

一つの結晶の上にほかの結晶がなんらかの一定の方位関係をもって成長する現象.epi-( = on)と,-taxy( = orderly arrangement)の合成語.双方の結晶の表面構造と状態がよく似ている場合に起こりやすい.天然の鉱物では古くから知られているが,最近,単結晶の育成の際,とくに蒸着法により基板結晶上に薄膜を作成する際によく問題とされる.エピタキシーの観測手段としては,光学顕微鏡(結晶の外形から方位関係を調べる),X線電子線回折(結晶格子の方位関係),電子顕微鏡(薄膜の組成や格子欠陥の検出,モアレ像による方位関係の観察)などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

岩石学辞典 「エピタキシー」の解説

エピタキシー

一つの結晶が,他の結晶の表面上にある定まった方位関係をとって成長する状態.結晶構造と格子面間隔の似た結晶の間に起こりやすく,通常下地の結晶面と構造的によく符号する結晶面の層が育てられていく[長倉ほか : 1998].ギリシャ語のepiは上,taxisは規則的な配列の意味.

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