いのちの初夜(読み)イノチノショヤ

デジタル大辞泉 「いのちの初夜」の意味・読み・例文・類語

いのちのしょや【いのちの初夜】

北条民雄短編小説自身ハンセン病療養施設への入所体験を描いた私小説原題は「最初一夜」で、昭和11年(1936)川端康成により改題され、「文学界」誌に発表。第2回文学界賞を受賞した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「いのちの初夜」の意味・わかりやすい解説

いのちの初夜
いのちのしょや

北条民雄(ほうじょうたみお)の短編小説。1936年(昭和11)2月『文学界』に発表。同年、創元社刊の短編集に収録。原題は「最初の一夜」で、彼が師事していた川端康成(かわばたやすなり)の改題になる。ハンセン病(旧称、癩(らい))の宣告を受け、自殺未遂を繰り返したすえに入院した青年尾田(おだ)は、重症患者たちの凄絶(せいぜつ)な姿を目の当たりにして動揺するが、「癩者の生活を獲得する時、再び人間として生き復(かえ)る」という病棟夫佐柄木(さえき)を知り、朝の光とともに「やはり生きて見ることだ」と思い始める。同じ病気に冒されていた作者の苦悩と決意を描いて、大きな衝撃を与えた作品。

[宗像和重]

『『いのちの初夜』(角川文庫)』

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