イラクのアルカイダ(英語表記)al-Qaeda in Iraq; AQI

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イラクのアルカイダ」の意味・わかりやすい解説

イラクのアルカイダ
al-Qaeda in Iraq; AQI

イラク戦争勃発後に活発化したイラクスンニー派武装勢力。イラク人戦士と外国人戦士から構成され,アメリカ軍のイラク占領とシーア派主体のイラク政府に抵抗する。以前からイラク国内で反政府活動を率いていたヨルダン生まれのアブムサブ・ザルカウィがアルカイダ同盟を結び,2004年に成立。ザルカウィは,AQI指導者の地位と引き換えに,オサマ・ビン・ラディンへの忠誠を誓った。ザルカウィは,自爆テロを含め,治安部隊や政府組織,民間人標的にした一連のテロ攻撃体制を組織化した。特に国内のシーア派住民を標的とした。AQIの犯行とされる 2006年のシーア派アスカリ聖廟爆破事件は,報復の連鎖を招き,アメリカ軍侵攻後最悪の宗派間抗争となった。2006年にアメリカ軍の爆撃でザルカウィが死亡したのちも,活発な活動を続けた。しかしスンニー派部族が,領地から AQIを追放するため,アメリカ合衆国の支援を受けて民兵組織「覚醒評議会」を結成,これをうけ 2007年には弱体化した。かつて反政府テロに荷担した民兵組織の多くが,たび重なる民間人への残虐行為や,地域部族社会の解体とアルカイダ主導の統治国家樹立を目指す動きへの反発から,AQIと袂を分かった。これにより AQIの勢力は大きく衰退したものの,シーア派やキリスト教徒,覚醒評議会メンバー,イラク政府を標的に規模を縮小して活動を続けている。

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