イラン=アメリカ請求法廷(読み)イラン=アメリカせいきゅうほうてい(その他表記)Iran-United States Claims Tribunal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

イラン=アメリカ請求法廷
イラン=アメリカせいきゅうほうてい
Iran-United States Claims Tribunal

1979年に勃発したイラン革命とそれに続く国内の混乱状態のなかで,多大な被害を被ったアメリカ人やアメリカ系企業の請求を処理し,救済を与えるために設立された仲裁法廷。テヘラン=アメリカ大使館人質事件の解決のために 81年1月にイランとアメリカとの間で締結されたアルジェ協定に基づいてハーグに設立された。仲裁人は,イラン,アメリカがそれぞれ3名を指名し,こうして指名された6名がさらに3名を指名して計9名である。それが3名ずつに分かれて3つの仲裁法廷 (Chamber) を構成する。請求付託期限の 82年1月 19日までに付託された請求の総数は約 3850件,うち請求金額が 25万米ドルをこえるものだけでも 521件を数えた。仲裁判断順次公刊されており,経済開発協定の一方的破棄の合法性,国有化補償の支払い,革命と国家責任など国際法,国際取引法,国際私法の領域にまたがる重要な諸問題に関して膨大な先例が蓄積されつつある。

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