日本大百科全書(ニッポニカ) 「インテンシブ・メソッド」の意味・わかりやすい解説
インテンシブ・メソッド
いんてんしぶめそっど
intensive method
少数の事例について、観察や面接を主として、その個別性に即して、多方面にわたって全体関連的に詳細に分析、記述する社会調査の方法。事例調査法case methodとほぼ同義である。調査対象のいくつかの側面を全体のなかから切り取り、客観的な質問紙や検査などによって大量に把握するエクステンシブ・メソッド(または統計調査法statistical method)と対比させてみれば、調査対象の側にたった把握、データの質的・個別的な深みが期待できる反面、調査対象との深いかかわりのなかで情緒的に一体化しやすく、それがかえって冷静な事実観察を妨げる可能性もある。また、データが少数であるため、個別な認識のレベルにとどまり、結果を統計調査の場合と同様の意味で一般化するには限界がある。事例の単位は、個人のみならず、集団や地域社会になることもあり、家族や病理集団、未開社会などの研究に用いられてきている。
[原 純輔]
『安田三郎・原純輔著『社会調査ハンドブック』第3版(1982・有斐閣)』▽『盛山和夫著『社会調査法入門』(2004・有斐閣)』