改訂新版 世界大百科事典 「ウインタテリウム」の意味・わかりやすい解説
ウインタテリウム
Uintatherium
北アメリカで第三紀始新世の中・後期に繁栄していた大型でグロテスクな哺乳動物。古型の有蹄類のグループの恐角目に含められる。ゾウのように大型で,体長が3mをこし,体高1.5mのものもいた。鼻の上,鼻と目の間,ひたいの上にそれぞれ1対の骨質の角状の突起があるのが特徴。化石としてアメリカ西部内陸部のユタ,コロラド,ワイオミングの各州に多く産出し,その地域のユーインタUinta山地のけもの(テリウム)ということで名づけられた。上顎の犬歯は伸びて長い牙をつくり,四肢は短く,指は5本で幅広く短い。趾行性でゾウやカバのように沼沢地の生活をしていたとされる。歯は小さく,V字形の稜をもつ原始的な形態をしており,主としてやわらかい植物を食べていたらしい。先祖はアジアに起源し,暁新世のころにアジアから北アメリカへ移動して,次の始新世には北アメリカとアジアの両地域で繁栄したが,その末期には新しい有蹄類である偶蹄類によって生態的地位を奪われ絶滅した。
執筆者:亀井 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報