歌舞伎(かぶき)舞踊。清元。原名は『願人(がんにん)坊主』。3世桜田治助(じすけ)作詞。1811年(文化8)3月江戸・市村座で3世坂東(ばんどう)三津五郎が初演した『七枚続花の姿絵(しちまいつづきはなのすがたえ)』という七変化舞踊の一つで、曲は常磐津(ときわず)だったが、1929年(昭和4)6月東京・歌舞伎座で6世尾上(おのえ)菊五郎が清元に改めて復活。以後流行して今日に至った。紗(しゃ)の十徳(じっとく)一枚という願人坊主が「チョボクレ」や、多くの人物を1人で演じる「まぜこぜ踊り」、悪の文字を面にかぶって踊る「悪玉踊り」など、終始軽快に踊り抜く。日本舞踊には珍しく裸同然の姿で老若男女を踊り分けるのが見もの。
[松井俊諭]