ウクライナ人(読み)ウクライナじん(英語表記)Ukrainian

翻訳|Ukrainian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウクライナ人」の意味・わかりやすい解説

ウクライナ人
ウクライナじん
Ukrainian

ウクライナの基幹住民。自称は複数形でウクラインツィ Ukrajintsy。ウクライナにおける人口は約 3800万で,同国人口の 70%以上を占める。旧ソ連諸国では,隣接するモルドバに約 38万人,ロシアに約 19万人が住むほか,カザフスタンに約 34万人,ベラルーシに約 13万人,ウズベキスタンにも約8万人が居住する。かつて宗教は大部分ギリシア正教であったが,16~17世紀にポーランドの支配下にあった西部ではウニアト教 (ギリシア正教とカトリック教との合同派) が取入れられた。言語はスラブ語派の東スラブ語群に属する。東スラブ人祖先から独立の民族として分離し,発展するようになったのは 14~15世紀頃で,今日の居住地であるドニエプル川流域のキエフポルタバ,南チェルニゴフ地方を中心に言語,文化,習俗のうえで独自のものが芽生えた。形質的にはアルメノイド的特徴が優越しており,他の東スラブ人より目,毛髪は暗色で,短頭,長身である。歴史的に異民族の侵攻,国土分割が繰返され,処々にその痕跡が認められる。地域性からウクライナは南東部,北部,南西部に3分され,北部 (ポレシエ地方) にはリトビン族,ポレシウク族,南西部にはグツル,ボイキ,レムキなどの山岳民族が独自の集団をなしている。全体に共通する文化要素も顕著であるが,なかでも華麗多彩な民族衣装歌舞などの伝統は今日もよく保持されている。

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