2003年に登録された世界遺産(文化遺産)で、スペイン南部、アンダルシア自治州の小都市ウベダとバエーサにあるルネサンス様式の建築物。イベリア半島では中世、ムーア人のイスラム教国家とキリスト教国家の間に激しい攻防があり、1492年にキリスト教国家がイスラム教国家を駆逐してレコンキスタ(イスラム教徒からの失地回復運動)を完了する。これがその後のスペイン王国の繁栄を築く礎になったが、ウベダとバエーサはレコンキスタ時代、キリスト教国家カスティーリャ王国とイスラム教国家ムワッヒド朝がその支配をめぐって激しい戦いを繰り広げたところである。16世紀に入ると、この2つの町は織物生産で豊かになり、地元の貴族たちはアンドレス・ヴァンデルヴィラなど当時一流の建築家たちを招いて、宮殿、聖堂、広場などを設計・建設させた。こうした建築物がウベダのバスケス・デ・モリーナ広場、その周囲にあるエル・サルバドル聖堂、デアン・オルテガ宮殿、バエーサの大学やサンタ・マリア大聖堂、ハバルキント宮殿、エスパーニャ広場などである。この2つの町は17世紀に入ると経済が失速し急速に衰えていく。このため、新しい建造物群がほとんど建てられることはなかったため、16世紀の建造物群が今日まで残されることになった。また、この両都市は中世ムーア人の都市として栄えたところでもある。現在残っているウベダの城門やバエーサのアーチは、ムーア人の建設した城塞都市の名残である。◇英名はRenaissance Monumental Ensembles of Úbeda and Baeza