エスクロー(読み)えすくろー(その他表記)escrow

翻訳|escrow

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エスクロー」の意味・わかりやすい解説

エスクロー
えすくろー
escrow

売り手と買い手の間に第三者(エスクロー業者)を介在させて決済する取引形態。第三者預託ともいわれ、アメリカで不動産取引を安全に行う方法として発達した。企業間では昔から行われていたが、個人間では近年ネットオークションのように相手の信頼性を確認することがむずかしい取引で、このサービスの利用が広まった。代金を払ったのに商品が届かない、商品を送ったのに代金が支払われない、といったトラブルを防止できる。具体的な取引の流れは以下のようになる。まず売り手と買い手がエスクロー業者のサービス利用に合意する。次に買い手が購入代金をエスクロー業者に振り込む。エスクロー業者は振り込みが行われたことを売り手に通知。売り手は買い手に商品を配送する。買い手から商品が届いた旨の連絡を受け次第、エスクロー業者は預かっている購入代金を売り手に送金する。売り手から商品が届かなかったり、届いた商品が取引内容と異なる場合には、取引は解消され、代金はエスクロー業者から返金される。

 また、ソフトウェアソースコードや技術情報についても第三者に預けておく、ソフトウェアエスクローがある。預けておくことによって、預け主が倒産した場合などでも、そのソフトウェアなどを前提とする他社開発に障害とならず、安心して利用できる仕組みである。欧米諸国ではすでに制度化され、定着している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

M&A用語集 「エスクロー」の解説

エスクロー

売り手と買い手の間に第三者である金融機関を介して、条件付で譲渡金額を決済する仕組みのこと。第三者である金融機関に、証書 (停止条件付捺印証書) の交付とともにエスクロー勘定を開設し、買い手はその勘定に譲渡代金を入金して保管しておき、売り手との間に設けた条件が満たされたときに、その勘定から譲渡対価が売り手に支払われる方式。国内のM&Aではメガディール時にわずかに用いられる程度である。中小企業のM&Aにおいても有効な手段であり、今後は取り入れるケースも出てくるだろう。

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