アメリカの伝統主義に属する教育思想家の一派で、一般に本質主義者または本質派と訳される。文化遺産の伝達を教育の主要機能とみなし、生活現実に有効に適応するために必要な文化遺産の共通の中核(一定の知識、技能、態度、理想など)を、教師が責任をもって教科ならびに教師の活動の体系的計画によって教えるべきであると主張する。したがって本質主義者は、こうした教育におけるエッセンシャルズ(本質的なもの、必須(ひっす)要素)を習得させるために、児童の努力や訓練の必要性を強調する。進歩主義者が児童の健全なパーソナリティの成長を目ざし、児童の興味や自由、自発性などを重視するので、両者はよく対比される。
エッセンシャリストの呼称は、1935年デミアシュケビッチMichael John Demiashkevich(1891―1939)によって初めて用いられ、38年バグリーWilliam Chandler Bagley(1874―1946)を中心に、進歩主義教育運動に対抗して「アメリカ教育の前進のためのエッセンシャリスト委員会」が結成されて注目を集めた。彼らの運動そのものは比較的短命に終わったが、その教育思想は今日多様な形で受け継がれている。たとえば、日本における1950年代後半から70年代にかけてのカリキュラム改革は、エッセンシャリストの主張と一致する部分が多い。
[山崎高哉]
…シカゴ大学学長在任中に,自然,社会,人文の諸分野を包括する古典名著120冊を選んだ〈グレート・ブックスGreat Books〉による教養教育を提案し(1931),今日の大学の一般教養課程のあり方に大きな影響を与えた。トマス・アクイナスの研究から,形而上学的世界観・人間観に基づく教育論を説いたが,アメリカ教育思想上は,文化的遺産を重視する〈エッセンシャリストessentialist〉の立場に立ち,同時代のプラグマティズムや新教育に対する批判者でもあった。【深山 正光】。…
※「エッセンシャリスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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