エッツ(読み)えっつ(その他表記)Marie Hall Ets

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エッツ」の意味・わかりやすい解説

エッツ
えっつ
Marie Hall Ets
(1895―1984)

アメリカの絵本作家。ウィスコンシン州に生まれる。幼いときから絵が好きで、ニューヨークおよびシカゴで美術を学ぶ。1918年結婚したが、翌年夫と死別。その後、社会学を学び、社会福祉活動に従事。29年医者エッツと再婚。35年から創作活動に入る。ウィスコンシンの森や湖で小さな生き物を見て過ごした夏が、幼いころのいちばん幸せな思い出だと自ら語るエッツの、『もりなか』(1944)、『わたしとあそんで』(1955)などの作品は、子供にも大人にも喜びと安らぎをもたらす美しい真実の世界である。『セシのポサダの日』(1959・共作)でコールデコット賞を受賞。

松野正子

『間崎ルリ子訳『もりのなか』(1963・福音館書店)』『A・ラバスティダ作、エッツ画、田辺五十鈴訳『クリスマスまであと九日――セシのポサダの日』(1974・冨山房)』『与田準一訳『わたしとあそんで』(1983・福音館書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エッツ」の意味・わかりやすい解説

エッツ
Ets, Marie Hall

[生]1893.12.16. ウィスコンシン,ノースグリーンフィールド
[没]1984
アメリカの女性絵本作家。美術学校卒業後結婚したが夫を急病で失い,社会福祉事業に打ち込んだが健康を害して絵本を描き始める。医学者ハロルド・エッツ博士と再婚。代表作『もりのなか』 In the Forest (1944) は「ぼく」という一人称,『わたしとあそんで』 Play With Me (1955) は「わたし」という一人称でそれぞれ書かれ,ともに自然との触れ合いのなかで幼い愛が芽生えていく様子を描いている。

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