エドワード・スノーデン(読み)えどわーど・すのーでん(英語表記)Edward Snowden

知恵蔵 「エドワード・スノーデン」の解説

エドワード・スノーデン

米国のコンサルティング会社ブーズ・アレンハミルトンの情報技術者。米国国家安全保障局(NSA)から同社への委託により、諜報活動に関わる。
1983年6月21日生まれ。米国ノースカロライナ州ウィルミントン市で幼少期を過ごす。高校を中退後、地元のコミュニティカレッジにて情報技術を学び、中等教育修了証を得る。
2004年5月、米国軍に入隊し、14週間の特殊部隊新兵コースに所属するが、両脚を骨折する事故にあい、除隊。その後、NSAの警備員として雇われ、次に中央情報局(CIA)の情報技術職員となり、07年スイスのジュネーブで情報収集活動に関わる。09年、CIAを退職し、コンピューター企業のデルやブーズ・アレンとの個人契約を結ぶ。ブーズ・アレンからNSAの日本オフィスに出向したこともあり、香港に逃亡する直前まではNSAハワイ・オフィスに配属され、オアフ島に在住していた。
13年6月、香港に逃亡し、英紙ガーディアンの取材を受けたスノーデンは、NSAから持ち出した内部文書を同紙に暴露。また、NSAがプリズム(PRISM)と呼ばれる国民監視システムを使い、米国内で網羅的な通信情報収集を行っていることをリークした。
米国検察当局は、スノーデンをスパイ行為などの罪で刑事訴追し、香港に対して身柄拘束を要請していたが、6月23日、スノーデンはロシアに移動。6月30日、スノーデンを支援しているウィキリークスの法律専門家は、モスクワのシェレメチェボ空港において、新たにロシアを含む19カ国への亡命申請書をロシア当局者に手渡した。既にエクアドルアイスランドに政治亡命の申請が出されていた。しかし、プーチン大統領が反米活動の停止を求めたため、ロシアへの亡命申請は取り下げられた。
7月1日、スノーデンは新たに、NSAが日本など同盟国を含む38の大使館や代表部の通信を盗聴・傍受していると暴露。
7月5日、ベネズエラのマドゥロ大統領は、スノーデンの「人道的な亡命を認める」と述べ、ニカラグアのオルテガ大統領も、これに同調した。7月6日には、ボリビアのモラレス大統領も亡命受け入れを表明。スノーデンはシェレメチェボ空港の乗り換えエリアに滞在しているとみられ、中南米への亡命が有力であるものの、パスポートが失効されているほか、米国の圧力や受け入れ候補国の諸事情により、渡航手続きがどう進むかは不透明である(13年7月8日時点)。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

現代外国人名録2016 「エドワード・スノーデン」の解説

エドワード スノーデン
Edward Snowden

職業・肩書
元米国中央情報局(CIA)職員 スノーデン事件

生年月日
1983年6月21日

出生地
米国ノースカロライナ州ウィルミントン

経歴
高校中退後、2004年陸軍特殊部隊員を目指し予備軍に入隊したが間もなく除隊。その後、米国国家安全保障局(NSA)と契約するコンサルタント会社社員となり、米中央情報局(CIA)の技術者を経て、再びNSAでシステム管理者として勤務。そこで、NSAがPRISMなど計4つの極秘プログラムを使って世界中のメールや通話、通信の記録を集め、秘密裏に監視していたこと、多くのIT大手企業がそれに協力していたことを知る。2013年5月ハワイのNSA事務所で米政府の機密文書をコピーして持ち出し、5月香港に渡る。6月米政府の情報収集活動を英紙「ガーディアン」や米紙「ワシントン・ポスト」に告発、米国史上最大級の機密流出として大きな問題となる。情報源として自身の身元を公表したことから、米政府は取扱許可を受けていない人物に安全保障に関する情報を渡した疑いと、機密情報を開示した疑い、政府の所有物を盗んだ疑い(スパイ活動取締法違反などの容疑)で訴追された。その後、ロシアを含む25ケ国以上に亡命を申請したとされるが、米国が亡命の申請国に圧力をかけるなどしたため、受け入れを拒否する国が相次いだ。同年「ガーディアン」による米情報収集活動の暴露報道はピュリッツァー賞を受賞。同年8月ロシアが1年間の亡命を認めた。2014年8月、3年延長。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

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