エピヌス(その他表記)Aepinus, Franz Maria Ulrich Theodor Hoch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エピヌス」の意味・わかりやすい解説

エピヌス
Aepinus, Franz Maria Ulrich Theodor Hoch

[生]1724.12.13. ロストク
[没]1802.8.10. ドルパト
ドイツの物理学者。学者の家に生れ,父,兄とも神学教授。イェナで医学および数学を学ぶ。ベルリン科学アカデミー会員ならびにベルリン天文台台長 (1755) 。以後電磁気の研究に没頭。ペテルブルグ科学アカデミーの物理学教授 (57~98) 。 1767年以後は科学研究から退き,教育,政治,外交に活躍。彼が最初に手がけた電気石の熱電気特性 (ピロ電気) の研究から導かれた電気分極と磁極の形式的類似性が,電気,磁気の統一的把握を目指す彼の生涯の研究方向を決定したといえよう。当時流布していた E.フランクリンの電気一流体説に対する疑念から,それに代る遠隔作用力に基づいた数学的電気理論を築いた。電気的引力斥力の厳密な数学的形式こそ定式化するにはいたらなかったとはいえ,彼の理論は一方でガラス瓶を必要としないライデン瓶 (すなわち平行板空気コンデンサ) を生み,他方で当時電気理論の最大の難点であった電磁誘導現象の解明に大きな貢献をなした。主著『電気・磁気学試論』 Tentamen theoriae electricitatis et magnetismi (59) は,電気および磁気の統一的かつ数学的理論のモデルとして 19世紀中葉まで大きな影響を残した。

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