一般に磁石がもっとも強く鉄を引きつける場所のこと。磁性体は残留磁化をもつことができ、とくに磁化の強いものは磁石になる。棒状の磁石に磁針を近づけると、一方の向きなら引きあい、反対の向きにすると反発しあう。磁針のN極が引きあう磁石の先をS極、反発しあう先をN極とする。「磁化」とはS極からN極へ向けて微小領域の磁気モーメントが並んだ状態と考えることができる。
[河野 長]
地球の表面での地磁気の方向を調べると、鉛直上向きになる所と鉛直下向きになる所が1か所ずつあり、それぞれ北磁極(2000年には北緯81.3度、西経110.8度)、南磁極(同、南緯64.7度、東経138.0度)とよばれる。一方、地球磁場を全体としてみると双極子型の磁場成分が非常に大きい。そこで、これらの磁極とは別に、地球磁場をもっともよく近似する地球中心にある双極子を計算で求め、その軸を延長したとき表面と交わる2点を地磁気北極および地磁気南極という(2005年の極の位置は北緯79.7度、西経71.8度と南緯79.7度、東経108.2度)。定義から明らかなように、二つの地磁気極を結ぶ直線は地球の中心を通るが、北磁極と南磁極の間にはそういう関係はない。
[河野 長]
(1)磁石の端にあって,もっとも鉄をよく引き付ける場所。磁極と磁極の間に働く力(磁気力)はクーロンの法則によって与えられるが,この磁気力の大きさから磁荷(磁気量)の単位が定まり,SI単位系ではウェーバーWbである。磁極にはN極(+極)とS極(-極)とがあり,同種の極どうしは反発し,異種の極どうしは引き合う。磁針にしたとき,北を指すほうにあるのがN極である。磁力線はN極からわき出して,S極に吸い込まれる。鉄などの強磁性体も磁場によって磁化することにより,その両端に磁極を生ずる。
→磁気
執筆者:近角 聡信(2)地球の磁極geomagnetic pole 地球上には磁場が分布しており,地球を巨大な磁石だと考えることができる。地球の磁極としては以下のものがある。(a)地球磁場は地球中心にある双極子(棒磁石)がつくるものとして近似できるが,その軸と,地球の自転軸とは必ずしも一致しない。軸が地表と交わる地点を磁軸極あるいは双極子磁極という。1980年には,北緯79°,西経71°とその反対側であったが,毎年少しずつ移動している。(b)実際の地球磁場は,双極子磁場とは少し違うため,磁軸極では磁力線が垂直で,かつ,磁場がいちばん強いとは限らない。磁針が垂直になる(磁力線の伏角が0°となる)点を伏角極,あるいは北磁極,南磁極と呼ぶ。北極では,北緯76°,東経100°,南極では南緯65.5°,東経139°付近にあり,これも毎年移動している。このように地球の磁極が移動するのは地球磁場が核内の流体運動によってできていることを反映している。
執筆者:柳沢 正久
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磁石の両端は鉄粉を引きつける力がとくに強いので,ここに磁気量が集中しているように思われる.この部分を磁極とよぶ.磁極には正および負の種類があり,地球上で北のほうに引かれるものは正の極または北極,南のほうに引かれるものは負の極または南極という.磁極の強さは磁気量である.正および負の磁気量は単独では存在することができないので,磁石には必ず正および負の磁極が存在し,それらの絶対値は互いに等しい.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…磁極をもつ物体のこと。広くはこれと同様な磁場を作り出す装置も含める。…
… 地理的な北極や南極は地磁気の極とは一致しない。自転軸が地表と交わる点が地理的極であるのに対して,伏角が90度になる点,つまり小磁石が垂直に立つ点を磁極といい,南北両半球についてそれぞれ南磁極,北磁極と呼んでいる。これに対して,想定した仮想的棒磁石の軸が地表と交わる点が地磁気極で,それぞれ地磁気北極,地磁気南極と呼んでいる。…
※「磁極」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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