日本大百科全書(ニッポニカ) 「エマルジョン塗料」の意味・わかりやすい解説
エマルジョン塗料
えまるじょんとりょう
emulsion paint
乳濁液(エマルジョン)とした塗料。ビニル系(多くはポリ酢酸ビニルとポリ塩化ビニル)あるいはアクリル系のポリマーを乳化重合で製造する。一方で顔料を水、分散剤、粘度付与剤などと練り合わせてペースト状とし、これに先の乳化物を徐々に加えていき、目的の濃度の製品をつくる。この方法は安定なエマルジョンをつくるための特殊な技術である。用途としてはスプレーガンを用いる室内塗装用が多い。有機溶媒を媒体とした従来のエナメルやペイントなどの塗料の塗布時や乾燥時における、有機溶媒の発散による労働衛生面への配慮と環境汚染防止のために、水系のエマルジョン塗料の使用が主力になった。
[垣内 弘]
『本山卓彦著『ビニル系エマルジョン』(1965・高分子刊行会)』▽『由良政昭著『入門・エマルジョンの応用』(1975・高分子刊行会)』▽『奥田平・稲垣寛編著『合成樹脂エマルジョン』(1986・高分子刊行会)』▽『シーエムシー編・刊『エマルジョンの需要構造と将来展望』(1998)』▽『本山卓彦監修『機能性エマルジョンの基礎と応用』(2000・シーエムシー)』