翻訳|emulsion
エマルジョンともいう。ある液体中にこれと混じり合わない他の液体が微細粒子となって分散,浮遊している液体混合物。分散粒子の粒径は多くは0.1~10μm程度であり,可視光を乱反射して,牛乳のように白く濁っているので,この名がある。水と油(ガソリンのように水と混ざらないもの)の混合物を激しくかくはんすると,一時的に分散するが,すぐに再び分離してしまう。しかしこれに微量の界面活性剤を加えると,安定な乳濁液ができる。これは界面活性剤分子が水に溶ける部分と油に溶ける部分とをあわせもち,水と油の界面にあって分散粒子を安定化するためである。このような働きをする物質を乳化剤といい,化粧品,食品,医薬,農薬,ペイントなどの製造になくてはならないもので,種々の界面活性剤がこの目的に使われている。水-油の乳濁液では,どちらが滴状に分散するかによって,水中油滴(O/W)型と油中水滴(W/O)型がある。同じ水と油の組合せでも,乳化剤の種類や乳化の方法によって,O/W型になったりW/O型になったりする。O/W型はクリーム状,W/O型はグリース状の手ざわりをもつことが多い。
→コロイド
執筆者:妹尾 学
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エマルションともいう.分散系の一種で,液体中にほかの液体が微粒子として分散したもの.牛乳などはその一例で,これは水中に油が微粒子となって分散しているので,水中油滴型(oil in water type)エマルションという.これに対して,油,そのほかの有機液体中に水滴が分散したものを油中水滴型(water in oil type)エマルションという.一般に不安定で,油滴や水滴が合一して2相に分離するものが多いが,界面活性剤を添加しておくと分散状態が持続される.この目的に使用される界面活性剤のことを,乳化剤という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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