エラコ(読み)えらこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エラコ」の意味・わかりやすい解説

エラコ
えらこ / 鰓蚕
[学] Pseudopotamilla occelata

環形動物門多毛綱定在目ケヤリ科に属する海産動物。カワカムリ、マテなどの地方名がある。北日本に分布し、海岸の岩の間に多数の管が一かたまりになって群生する。管は薄くてじょうぶな膜で、表面に細かい砂粒をつけている。虫体の体長は10センチメートル内外で、頭部には45~50本の鰓糸(さいし)からなる房状の鰓冠(さいかん)があり、これを管の入口から出して花のように開き、呼吸したり餌(えさ)をとっている。おのおのの鰓糸には5~6個の眼点が1列に並んでいる。体は筋肉質がよく発達しており、釣りの餌に用いられる。また、岩手県の沿岸ではなまのまま食べる人があり、また塩辛が市販されている。エラコの管の入口付近には、体長1ミリメートルほどの腔腸(こうちょう)動物のニンギョウヒドラが多数群生しており、これに触れると赤くはれる。

[今島 実]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エラコ」の意味・わかりやすい解説

エラコ
Pseudopotamilla occelata

環形動物門多毛綱定在目ケヤリ科。体長 10cm内外,体節数約 120。体は黄褐色で,頭端には房状の鰓冠があり,これを開いて餌をとったり呼吸したりする。砂粒をつけた管の中にすむが,これらの管はたくさん集って束になり,岩のすきまなどに群生する。管の入口付近にニンギョウヒドラが多数着生しており,普通エラコにさわってかぶれるというのは,このニンギョウヒドラの刺胞に刺されて赤くはれることである。カワカムリ,マテとも呼ばれ,コダイ,カレイ,その他の磯魚釣餌として用いられる。本州中部以北に分布する。

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