改訂新版 世界大百科事典 「エレムルス」の意味・わかりやすい解説
エレムルス
Eremurus
イラン,アフガニスタン,ヒマラヤなどに分布するユリ科の耐寒性多年草で,同属には約20種ほどが知られている。いずれも長大な花穂をつけみごとである。属名Eremurusはラテン語のeremo(砂漠の意)とuro(尾の意)に由来し,自生地と花穂の形による。長線形の葉を根生し大株に茂り,5~6月ころ高さ1~2mに及ぶ長い花茎を抽出し,黄,橙,白などの小さな花を長い花穂に密につける姿は実に雄大である。黄色花のE.bungei Baker,白色花のE.olgae Regelのほか,交配雑種と推定される桃色花のE.elwesii Mich.以外に,最近は交配改良品種も多く作られている。庭園用の宿根草として,その雄大な花容を楽しむが,冷涼な気候で,排水のよい場所を好み,過湿に弱いので注意する。植付けは秋に行う。花後葉が枯れ休眠するが,休眠期には過湿にしない。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報