H+ は,水溶液中では水和してH3O+をつくる.これをオキソニウムイオンまたはヒドロキソニウムイオンともいう.水和が重要でなければ単に水素イオンといい,H+ で表す.H3O+はO原子を頂点とした三方すい型(∠H-O-H約115°)であるが,これにさらに水が結合したH5O2+(H3O+のH原子にH2OのO原子が水素結合する),H7O3+,H9O4+などの存在も知られている.水和の程度がはっきりしない場合には,一般にヒドロニウムイオンと総称される.有機溶媒中でも溶媒和した H+ が存在する.たとえば,メタノール中のCH3OH2+,エーテル中の(CH3)2OH+などであり,それぞれメチルオキソニウムイオン,ジメチルオキソニウムイオンのようによぶ.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…水酸化マグネシウムMg(OH)2のような水酸化物中に含まれている水(Mg(OH)2を加熱すると,分解してMgOとH2Oとになり,結晶構造はこわれる)を構造水ということもある。(4)酸水和物に含まれる水 硝酸1水和物[H3O+][NO3-],過塩素酸1水和物[H3O+][ClO4-]などのように,強酸水和物中には水素イオンに水が結合したオキソニウムイオンH3O+が含まれる。このような水和陽子はH3O+に限らず,多くの水と結合して結晶をつくることがある。…
…この考え方は便利で,現在でもよく用いられている。ただしここでいう水素イオンは,最近では水溶液中では単なる水素の原子核としてではなく水和したオキソニウムイオンH3O+として存在していることも認められてきている。
[水溶液中での酸・塩基]
水溶液中でのH+の濃度あるいはpHをその水溶液の酸の強さとすることができるが,酸自身の酸の強さとしては,酸がH+を放出するものであるということからすれば,その程度すなわちKaがその酸の強さをあらわすことになる。…
※「オキソニウムイオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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