酸化物のうち、水と反応してオキソ酸を生成し、塩基と反応して塩を生ずるものをいう。塩基性酸化物に対する語。多くの非金属元素の酸化物、たとえば二酸化炭素CO2、二酸化硫黄(いおう)SO2、七酸化二塩素Cl2O7などや、遷移元素の高酸化数酸化物、たとえば酸化クロム(Ⅵ)CrO3や酸化マンガン(Ⅶ)Mn2O7などがそうである。
[中原勝儼]
二酸化硫黄 SO2+H2O→H2SO3(亜硫酸)
七酸化二塩素 Cl2O7+H2O→2HClO4(過塩素酸)
酸化クロム(Ⅵ) CrO3+H2O→H2CrO4(クロム酸)
酸化マンガン(Ⅶ) Mn2O7+H2O→2HMnO4(過マンガン酸)
二酸化炭素 CO2+NaOH→NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)
酸化クロム(Ⅵ) CrO3+2KOH→K2CrO4+H2O(クロム酸カリウム+水)
[編集部]
酸化物のなかで水と反応してオキソニウムイオンH3O+を生成し,また塩基と反応して塩をつくるものをいう.本来,共有結合性の化合物で,大部分の非金属元素の酸化物はこれに属する.たとえば,二酸化硫黄,十酸化四リンなどで,これらは水と反応して
SO2 + 2H2O H3O+ + HSO3-
CO2 + 2H2O H3O+ + HCO3-
のようにH3O+を発生して酸性を示す.また,遷移金属の高酸化数の酸化物もこれに属する.遷移金属のように何種類もの酸化物をつくるようなとき,通常,低酸化数のものは塩基性酸化物であるが,酸化数が大きくなると,一般に共有結合性が増大するため,高酸化数のものは酸性酸化物となる.たとえば,CrOは塩基性,Cr2O3は両性であるが,CrO3は酸性である.酸性酸化物は,しばしば塩基性酸化物と直接反応して塩をつくる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…たとえば五酸化二窒素N2O5,三酸化硫黄SO3などがそれで,水に溶けるとそれぞれ硝酸HNO3,硫酸H2SO4などとなる。したがって,これらは酸性酸化物acidic oxideといっている。また逆に電気陰性度がきわめて低く,電気陽性の高い,すなわち周期表左下方の金属元素の酸化物ではO2-を含むイオン結晶をつくりやすく,たとえば酸化ナトリウムNa2Oや酸化カルシウムCaOでは,水に溶かすと強い塩基性を示すので塩基性酸化物basic oxideといっている。…
※「酸性酸化物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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