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おじ方居住婚 おじかたきょじゅうこんavunculocal residence

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

おじ方居住婚
おじかたきょじゅうこん
avunculocal residence

婚後の居住方式の一つ。新婚夫婦が,夫の母方のおじの家,あるいはその家のある村に居住すること。おじは夫方,妻方ともにあるが,実際には居住規制やもろもろの慣習と結びついた居住方式の例は夫の母方のおじしか認められていない。 G.P.マードックの調査した居住方式では,250例中,おじ方居住の例は,母系相続を原則とする社会に6例,系譜の混合した相続を行なっている社会に2例で計8例にすぎない。その代表例はカナダ,ブリティシュコロンビアのハイダ族の例であり,そこでは 10歳くらいになると少年は生家を離れて母方のおじの住居に住み,やがてそこの娘と結婚する (→いとこ婚 ) 。このようにすれば,母系社会にあって,世帯のおじから甥のライン,すなわち男系を維持するのに都合がよく,これは母系制から父系制への移行の一つの過渡的形態と認識されてきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

おじ方居住婚
おじかたきょじゅうこん

新婚の夫婦がどこに居所を定めるかという居住規制rules of residenceに関してアメリカの人類学者マードックが行った分類の一つ。アバンキャローカルavunculocalという。結婚した夫婦が夫の母方のおじの家またはその近所に世帯を構える制度をさしている。カナダのブリティッシュ・コロンビア州の先住民ハイダの社会では、少年は10歳くらいになると両親の家を出て、別の村の母方のおじのもとで暮らし始め、のちにその村で嫁を迎える。おじ方居住婚はこのような慣行に基づいている。この制度のもとでは母系的に結ばれた男性たちが地域的に集結することになることから、母系出自との結び付きが示唆される。もっともハイダの人々の間でみられるように、母方のおじの村に移り住んだ若者がおじの娘と結婚し母方交差いとこ婚を行う場合、居住形態はマードックのあげるもう一つの型、母方居住婚matrilocalとは区別できないものとなる。[濱本 満]
『G・P・マードック著、内藤莞爾訳『社会構造』(1978・新泉社)』

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