オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(読み)オゾンそうをはかいするぶっしつにかんするモントリオールぎていしょ(英語表記)Montreal Protocol on Substances That Deplete the Ozone Layer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書
オゾンそうをはかいするぶっしつにかんするモントリオールぎていしょ
Montreal Protocol on Substances That Deplete the Ozone Layer

地球のオゾン層破壊する化学物質の生産および使用を規制する国際的な協定。1987年9月16日にカナダモントリオールで採択された。締約国は当初日本を含め 46ヵ国だったが,その後約 200ヵ国にまで増加。特定種類のフロン(→特定フロン)およびハロンの生産,消費を 1994年までに 1986年比 80%,1999年までに同 50%に削減することを定めた。1989年1月1日の発効以降,規制内容は削減から全廃へと段階的に修正され,加えて四塩化炭素トリクロロエタン(メチルクロロホルム),ハイドロクロロフルオロカーボン HCFC,ハイドロブロモフルオロカーボン HBFCなどの生産と使用も禁止となった。なお発展途上国は,使用が禁止される物質に代わる物質(→代替フロン)の導入が技術的,財政的に困難であるため,全廃期限が若干長めに設定されている。先進国は 1994年までにハロンの生産と消費を中止し,1996年にはクロロフルオロカーボン CFC,HBFC,四塩化炭素,トリクロロエタンなどの全廃を達成,2005年にはメチルブロマイド臭化メチル)を全廃した。さらに 2030年までの HCFC全廃を目指す。一方途上国の全廃期限は,CFC,四塩化炭素,トリクロロエタン,ハロンが 2010年,臭化メチルが 2015年,HCFCが 2040年とされた。2016年には,ルワンダの首都キガリで開催された締約国会合で,代替フロンとして用いられてきたハイドロフルオロカーボン HFCが高い温室効果をもつため,新たに規制対象とする改定案(通称キガリ改定)が採択された。(→オゾン層の破壊

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