代替フロン(読み)だいたいフロン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「代替フロン」の意味・わかりやすい解説

代替フロン
だいたいフロン

オゾン層破壊効果が高い特定フロンを全廃するにあたり,その使用目的に応じた代替となるフロンのこと。オゾン層の破壊を防ぐため,1985年にオゾン層の保護のためのウィーン条約採択,1987年にオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書が署名され,フロンの規制が世界的に行なわれるようになった。1980年代後半から 1990年代前半には,特定フロンである CFCクロロフルオロカーボン)からの代替として,おもに HCFCハイドロクロロフルオロカーボン)が使用された。日本では 2005年までに CFCの生産および消費を全廃している。しかし CFCよりは影響が小さいものの,HCFCもオゾン層を破壊する。そのため近年は HCFCも特定フロンとして扱われ,さらなる転換が進められている。HCFCの代替フロンとしては,おもに HFCハイドロフルオロカーボン)が用いられている。HFCは分子内に塩素をもたないためオゾン層を破壊しないものの,高い温室効果を有しており,地球温暖化への影響が懸念されている。温室効果ガス削減の観点から,日本を含む先進国では,HFCも 2020年には原則的に製造および使用が禁止されることが決まっており,さらなる代替物質開発が研究されている。

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