メタンCH4の水素原子を全部塩素原子で置換した化合物。テトラクロロメタンともいう。化学式CCl4。融点-23℃,沸点76.74℃。比重1.63195(20℃)で水より重い。無色透明,揮発性,不燃性の液体で,特有の臭いを有する。水にはほとんど混ざらないが,アルコール,エーテルなどの一般有機溶剤とはよく混和する。化学的に安定で,一般に酸,塩基の作用を受けないが,塩化アルミニウムなどのルイス酸とは錯体を形成する。古くは二硫化炭素に触媒の存在下で塩素を作用させて得ていたが,現在ではほとんどメタンを塩素で逐次熱塩素化してつくるか,C2,C3炭化水素の熱塩素化によりテトラクロロエチレンとともに製造する。用途の大部分はフロン製造の原料である。すなわち,フッ化水素を作用させることにより,フレオン-11,-12,-12B1とし,冷媒などに用いられる。そのほか,消火剤,油脂や樹脂などの溶剤,ドライクリーニング溶剤,殺虫・駆虫剤としての用途がある。空気中の許容濃度は10ppmで,かなりの毒性があるため取扱いには注意を要する。
執筆者:中井 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
CCl4(153.82).テトラクロロメタンともいう.二硫化炭素に適当な触媒の存在下で30 ℃ で塩素を作用させ,生成物を蒸留精製すると得られる.メタンを塩素化しても得られる.分子は四面体構造.特有の臭いをもつ無色の重い液体.融点-23 ℃,沸点76.7 ℃.密度1.63 g cm-3.1.4607.水に対する溶解度は0.08質量%(20 ℃).エタノール,エーテル,ベンゼン,クロロホルム,石油エーテルとまざる.酸,塩基に対して安定である.五フッ化アンチモンなどを触媒としてフッ化水素を作用させるとフロンを生じる.ヨウ素,脂肪,タールなどの各種有機物を溶解する.引火性はない.溶剤,ドライクリーニング,殺虫剤,赤外吸収スペクトル測定用溶媒,キレート抽出用溶媒などに用いられる.[CAS 56-23-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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